日本道路公団内田道雄副総裁が、背任の容疑で東京高検に逮捕されました。今回の逮捕容疑は第二東名高速道路の鋼鉄橋の受注業者指名入札に際し、一件の工事発注で三社への発注で済むところを、内田副総裁の指示で別件の二つの工事にして五社に発注させ、業者に便宜を図って道路公団に五千万円の損害を与えたというものです。日本道路公団の鋼鉄橋工事に関しては、談合による独占禁止法違反の容疑で、受注業者に天下りした公団OBが既に逮捕されています。この時から日本道路公団の高速道路工事を巡る談合は、業者の都合による私製談合ではなく、公団の現役社員が関わった官製談合ではないかとの疑惑が持たれていましたが、東京高検による現役副総裁の逮捕で、その疑いがより濃厚になりました。
 現役副総裁の逮捕はそれだけでも社会的に大変大きな問題ですが、それ以上にこのニュースが興味を引いたのは、道路公団民営化推進委員会の場で内田副総裁が「かずら会・K会・A会の存在を知らず、その名称を新聞報道で初めて知った」と答えた際に、猪瀬直樹委員から嘘だと指摘されたことで会議を中途退席し、その後名誉を傷つけられたとそれ以後の委員会を欠席していたためです。さらに内田副総裁はその後の記者会見や参議院の委員会でも同様の発言を繰り返していました。
 内田副総裁の開き直ったかのような厚顔なしらばっくれぶりには呆れてしまいますが、思えば前の藤井治芳総裁の財務諸表の存在の疑義に対する発言や、当時の石原大臣による更迭は受入れられないと担当大臣に反旗を翻した際の開き直りぶりと似ています。そうまではっきりと言い切れるのは、本当に全く関わり合いがない濡れ衣であるからか、その逆に問い質された本人が疑惑の中心人物であるために、全否定をするより他に対処のしようがないかのいずれかしかありません。