■昨年の芸術選奨を受賞した洋画家和田義彦氏の受賞理由とされた作品が、イタリアの画家アルベルト・スギ氏の作品と酷似していると指摘されています。文化庁は双方の主張を聞くなどしたうえで賞の扱いをどうするかを検討することになるかもしれないとの慎重な態度を表明していますが、和田氏が属する国画会は同氏に退会を勧告し、二週間が経過しても退会の申し出がない場合には除名する旨を発表しました。芸術選奨を管轄する文化庁は自らが審査した立場であることもあり慎重にならざるを得ないようですが、同じ芸術家の立場である国画会は指摘された疑惑に対し「かばいきれない」とコメントしており、これは盗作であると言わざるを得ないと判断したようです。
 アルベルト・スギ氏は和田義彦氏の油絵を悪質な盗作と主張し、さらに同氏から謝罪と自分を訴えないで欲しいと依頼された手紙とファックスを示し、和田氏自身盗作であると自覚していると言っています。これに対し和田義彦氏はこれは自分のオリジナルであると主張しています。ただこの問題は芸術としての模倣がどうだとか、技法面でのオリジナル性云々という話ではなく、文化庁和田義彦氏の絵画と酷似しているアルベルト・スギ氏の作品があることを知らずに芸術選奨に選んだのであって、それを知った以上は受賞の取り消しを検討せざるを得なくなった、ということにあると思います。