パナマ工業の湯沸し器で死亡事故が多発していたことを受けて、他のメーカーで同様の事故が発生していないか調査したところ、調査した12社のうち11社では事故が起きていない事が判明した。これにより現場に不正改造をはびこらせるような事情は、パロマ製品に限った特殊な事例であることがはっきりしたが、最近のシンドラー社製のエレベータ死亡事故や先日の流水プール事故では、一つの重大事故をきっかけにそれを防げなかった様々な危険因子が続々と見つかるので、これは何も事故を起こしたメーカーだけの特殊な事例ではないのではないか、という不安を感じてしまう。
 例えばシンドラー社の事故ではインシデント事例が後から多く報告されただけでなく、エレベータの設置会社と管理会社が別だと、補修部品の販売を渋ったり保守に関する情報を提供しなかったりと、製品の安全性確保より自己の利益追及を優先するような姿勢や無用な対立があることが明らかになった。
 この図式はパロマ本社とパロマの保守管理会社の間でも同様で、パロマ社の交換部品が間に合わず、現場でユーザーからの求めにより検知センサーを無効にする配線の短絡(不正改造)が行なわれていた。製造者が直接ユーザーに関わらないが故の悪弊でといえる。もっともそうした事例についてパロマ側は把握していたのに、有効な対策を取っていなかったというのだからパロマの姿勢は悪質である。似たことがリコールに関してトヨタでも起こっている。
 流水プール事故では10年前から蓋をボルトでなく針金で固定していたというし、管理を委託された会社は契約に違反して下請けに丸投げしていた。下請け業者は契約した会社名を名乗り、アルバイトの監視員は流水プールの仕組みすら理解していなかったという。さらに合併前までは毎日行政の職員が点検していたとのことだったが、現場の監視員からは疑問の声が上がっている。合理化や経費節減を隠れ蓑にして、誰もまともに仕事をしていないというだけの話ではないか。