選挙を前に、各新聞社はアンケート調査を実施し、両陣営が激しく競り合っていると報じている。選挙前の報道は、公正でなくてはならないのは大原則であるが、実際のアンケート調査で差が明白な場合はそれでも一方がリードし、もう一方が追い上げているというように報じられる。そうした報道によってリードしている候補者に投票しようと考える人もいるし、逆に組織選挙を繰り広げている候補者がリードしている場合には陣営の引き締めが緩んでしまうことがある。
 先の滋賀県知事選挙では新幹線の新駅が争点となり、推進派の保守相乗りの現職候補が反対派の新人候補に敗れた。長野県知事選挙では田中県政の是非が争点とされているが、反田中票の受け皿である新人候補が自民党の前の国会議員であり、他の政党は表立った支援をしていない。また村井候補は先の衆議院選で郵政民営化に反対したために自民党の公認が得られず立候補を断念した経緯があり、
自民党の公認や推薦が得られず、党も政党色が強まることが必ずしも票に結びつかないと応援に入っていない。
 もともと自民党県連が公募した候補者が立候補を断念するという密室での一本化が行なわれた自民党色の強い候補が、党本部からもそっぽを向かれている状態で選挙戦を戦っているのだから、始めから終わりまで反田中候補は混乱している状態である。これで本当に反田中票の受け皿足り得るのだろうか。