「PLUTO」4巻/浦沢直樹

浦沢直樹さんが描いている「PLUTO」の4巻が発売されたので買いに行きました。我が家からは本屋さんまで少し遠く、いつも買い物をしている(結構大きな)スーパーの中の本屋さんは新刊コミックもろくに入ってこないので苦労します。
「PLUTO」4巻は結局近くのセブンイレブンで買うことができました。けれどセブンイレブンでは同じ小学館のコミックスでも、ゆうきまさみさんの「鉄腕バーディー」やなんかは売っていません。急ぎでなければネットで注文したりもするんですが、「PLUTO」はとても楽しみにしているので発売日に読みたかったわけです。
余談ですがB5サイズの豪華版は一足早く発売されています。通常版の発売がなければ豪華版でも構わないのですが。

さて内容ですが、正直読む前の期待が高すぎたのか肩透かしを食らったような気分になりました。3巻までは本当に、次の巻が楽しみでしょうがなかったのですが、ちょっと残念です。
冒頭、お茶ノ水博士が壊れたロボット犬を修理しようとします。ロボット犬はSONYのAIBOという形で既に現実のものになっていますが、「PLUTO」の世界では人はこうしたロボットペットにも本物のペット同様に人が愛情を注いでいる様が描かれています。
私は実際にAIBOの世話をしたことがありますが、自分でお金を出して買った訳ではないからかもしれませんが、所詮は上等なオモチャとしか思えず、実際の生きている犬に対して抱くような愛情を感じることは全くありませんでした。そんなわけでAIBOを髣髴とさせるロボットのペットに関するくだりは読んでいてハッとさせられましたし、全体のストーリーを支える上でも重要なエピソードであるように思います。
ところがこの続きでアトムはあっさりとプルートゥに殺されてしまいます。「PLUTO」はアトムの代わりにゲジヒトを主役に置き換えた話ですから、手塚版「地上最大のロボットの巻」でのゲジヒトの代わりにアトムを殺してしまっただけかもしれません。さらに手塚治虫がゲジヒトを簡単に壊してしまったように、浦沢直樹はアトムの死を至極あっさりと描くことで手塚版「地上最大のロボット」との違いを際立たせようとしているのかもしれません。
ですがその描かれ方があまりにあっさりしているので、これは後々アトムが修理されて蘇るのではないかと思ってしまったりします。またこれまでのモンブラン、ノース2号、ブランドーは破壊されましたがアトムは「死んだ」のであって体はそのまま残されています。そして(空中爆発したノース2号もそうだったのですが)アトムの死骸には「角」が残されていませんでした。こうしたことからアトムの死はこれまでのロボットの破壊とは少し様子が違います。
ただもしそうなれば予定調和の話となり、最後には安心できるかもしれません。けれども逆に、アトムがこのまま一つのエピソードとしてこれで終わりで、さらに凄い別のラストが用意されているのではないかという期待も持てます。けれども4巻までの読後感としては、アトムがあっさりここで消えてしまうことには納得ができないというか、肩透かしを食ったような感想を抱いてしまいます。
さらにもう一つ腑に落ちないのは、ゲジヒトが彼を狙う人間を警護するようになり、またその人間が単にゲジヒトに兄を殺された弟という役割だけでなく、ストーリーの根幹に関わるような秘密を知っていたという「安易な」設定です。無論これら二つの肩透かしは、お話がまだ途中であるがゆえの消化不良に過ぎないのかもしれません。けれどもこれまでずっと続きを楽しみにし続けていて、ようやく発売となった最新刊を読んだ私は、この中だるみ(?)に少しガッカリさせられてしまいました。