厚労省タミフル研究班教授の講座に販売元800万寄付(3月13日3時6分配信 読売新聞)
 インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した後に異常行動死が相次いでいる問題で、因果関係を調べている厚生労働省研究班主任研究者の教授が主宰する大学の講座(研究部門)が、タミフルの輸入販売元「中外製薬」(東京都中央区)から、4年間に約800万円の寄付金を受けていたことがわかった。
 厚労省ではこの教授から聞き取りを始めており、「さらに事実関係を確認した上で、適切に対応したい」としている。
 寄付を受けていたのは、横浜市立大教授がトップを務める同大の小児医療関係の講座。同大や中外製薬によると、2001〜04年に計850万円が使途を限定されない「奨学寄付金」として、同大を通じてこの講座あてに寄付され、事務経費を除いた約800万円が実際に講座に交付された。
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 先日、子どもがインフルエンザを患った際、処方された薬品名がタミフルとあったので、この薬に問題があるという話を耳にしたのですが、と薬局で尋ねてみた。異常行動による死亡がマスコミで取り上げられ話題になる前のことです。薬剤師さんは昨年秋に出されたレポートを持ってきて、インフルエンザで脳症が発することがあり、タミフル服用者と非服用者の間に顕著な発症の差異は見られない、とのタミフルの安全性の論拠を示し、厚労省が安全な薬だと証明していますと説明してくれました。
 インフルエンザは症状が重くなると乳幼児や老人を中心に死者が出るほどの病気であること、タミフルはインフルエンザに非常に効果があること、副作用で異常行動が出ることがあるがそれは極めてレアなケースであること、そうしたことを踏まえたとしても「服用後に異常行動を起こすことがあるので、患者を一人にして放置しないこと」などの注意喚起がもっと早くになされてしかるべきだったのではないかと思っていました。
 これまで様々な薬害を出してきた苦い経験のある厚労省が、どうしてタミフルでの対応がスローモーなのか疑問に思っていました。タミフルの薬効を評価し、他に代替薬がないためにインフルエンザ流行や症状の沈静を優先させているから、と考えていたのですが、ブレーキを掛けていたのが製薬会社だったとは大変ショックです。
 「適切に対応」というのには聞き飽きた感がありますし、「さらに事実関係を確認した上で、適切に対応したい」というのは担当省庁として言うまでもなく当然のことです。「事実であれば大変遺憾であり、事実関係をさらに確認し、これまでの研究結果の見直しも含めて安全性についての徹底確認を行う。また関係者に対しても疑惑が事実であれば厳正な対処を行っていく」くらいのことは言ってもらわないと困ります。こうした件については勇み足の失言と後から批判を受けるくらいの前向きな態度を期待したいものです。