【概要】
夏休み中児童に開放されているプールで、小1男児が水死するという信じられない事故が起こりました。事故が起きたのは福島県相馬市にある桜丘小学校で、午後2時25分ごろプールの北側から約5mのところにうつ伏せになって浮いている阿部成秀君に児童の付き添いで来ていた別の児童の母親が気づき119番通報、学校にいた教頭が人工呼吸などの救命措置を行いましたが、救急車で運ばれた同市内の病院で2時間後死亡が確認されたものです。
【問題点】
この事故では当初、「教員二人と監視員二人の計4人が監視」していて「一緒に泳いでいた小学生が」溺れていた成秀君に気づいたと報道されていました。どうして大人4人が監視していて児童の異常に気づかなかったのかが疑問だったのですが、実際の監視体制は「PTAから依頼された給食担当の臨時職員の女性2人」であり、成秀君がプールにうつ伏せに浮かんでいるのに気づいたのは、当日たまたまプールサイドにいた「児童の付き添いで来ていた母親」でした。さらにその時にたまたま「臨時教員2人がプールの柵の外からプールを眺めていた」ということもあったようです。
つまり、プールサイドにいて監視員の役割を担っていたのは臨時職員2名でした。桜丘小学校にあるような25m×15mの大きさのプールを2人で監視するなら、一人は監視台から全体を見渡せるようにしたいところです。また2人ともに警笛と拡声器が必要かもしれません。監視台がなければ2人はプール両端に立ち、それぞれ半分ずつを監視することになりますが、それで十分だったのでしょうか。実際に桜丘小学校では監視員が児童の異常に気づくことができませんでした。事前の監視や安全管理の計画段階で、2名の監視というのは人数的に不十分だったということになるのではないでしょうか。
プールサイドに立って巡視するなら4人をプールの四隅か4面のそれぞれ中央付近に配置するのが適当でしょう。警笛と拡声器は一組でも構いませんが、全員に事前の救急救命講習を課す必要もあると思います。
救命措置は一刻を争うものですが、成秀君への措置は監視員でなく連絡を受けて駆けつけた教頭が行っています。何故予めプールサイドにいた監視員が救命措置を行わなかったか疑問です。少なくとも連絡を受けて駆けつけるまでの時間が掛かってしまっているからです。

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