午前10時30分ごろ、台北那覇行きの中華航空チャイナエアライン)120便(ボーイング737-800型機)が那覇空港に着陸後、駐機場で右側第2エンジンより発火、乗員乗客165人全員が緊急脱出直後に爆発、炎上しました。当時那覇空港に居合わせた民間人が脱出から爆発・炎上までをビデオ撮影していて、NHKのニュースなどで緊迫感溢れる脱出劇や爆発・炎上の一部始終が繰り返し放映されています。
10時27分に着陸した同機は同32分に41番スポットに停止、地上にいた整備員が発火に気づき、緊急脱出が始まりました。脱出用シューターは機内から全員が1分30秒以内に脱出できるよう設置されています。同機には計6ヶ所に脱出口がありますが、発火している主翼付近の2ヶ所は脱出に利用できず、4ヶ所の脱出用シューターを使って脱出が行われました。最後の乗員が脱出して12秒後、同35分に強風の為燃え広がった炎により左側第1エンジンが爆発していますから、まさに間一髪の脱出劇でした。ちなみに爆発時、パイロット2名が操縦室窓から脱出しようとしていましたが、爆発の衝撃により2人とも地上に落下しましたが大きなケガはありませんでした。
着陸後の航空機のエンジンはアイドリング状態となっています。飛行中・着陸時には異常を示す兆候もなくエンジンは正常に作動していたようです。着陸後に発火・炎上ということですから燃料漏れが疑われますが、着陸後に燃料漏れが起きたか、或いは飛行中〜着陸時までは正常に燃料供給がなされていた、或いは飛行中〜着陸時には燃料漏れ・発火を妨げる要因があり発火に至らなかったもの、と思われます。

中華航空機は過去に名古屋空港(当時)でも着陸時に墜落事故を起こしているほか、日本に乗り入れているエアラインではエジプト航空、航空と並んで事故率の高いエアラインとして知られています。

  • 1989.10.26 花蓮台北行204便(ボーイング737-200)離陸直後パイロットが出発経路を誤り墜落・乗員7名乗客47名計54名全員死亡
  • 1991.12.29 台北発アンカレッジ行358便(ボーイング747-200F貨物機)離陸直後第3.4エンジンが脱落・乗員5人全員死亡
  • 1993.11.4 台北発香港行605便(ボーイング747-400)着陸時に滑走路をオーバーランし海中に突入・1名死亡22名負傷
  • 1994.4.26 台北発名古屋行140便(エアバスA300)着陸進入中着陸復航レバーの誤動作により失速し墜落・乗員15名乗客249名計264名死亡、7名重傷
  • 1998.2.16 バリ島発台北行676便(エアバスA300)名古屋空港の事故と同様に着陸復航時に失速し空港近くの住宅街に墜落・乗員14名乗客182名計196名全員と近隣住民7名の計203名が死亡
  • 1999.8.22 バンコク発香港行642便(MD-11)台風下の空港に着陸時機長と副操縦士が矛盾する操縦を行い機体が反転し墜落・乗客3名死亡208名負傷
  • 2002.5.25 台北発香港行611便(ボーイング747) 台湾海峡上空を飛行中に空中分解・乗員19名乗客206名計225名全員が死亡または行方不明

ウィキペディアの記述をみると中華航空の事故率が高いのは「中華民国空軍の退役パイロットを操縦士としているせいか」「経営陣が台湾政府承認制のため安全対策の一貫性が採りにくい構造」であるという点が指摘されています。退役パイロットと安全性の相関についてははっきり判りませんが、経営陣が政府の承認制ということからは経営陣が保守的になりがちであることや私企業と政府との癒着といった背景が見えてきます。また政府が航空会社の安全性に強い配慮を持っていなければ、自然とエアライン側の安全意識も低くなってしまうでしょう。
ただ一つ確かなことは中華航空が度重なる事故に対して有効な対策を取ることができておらず、今日もまた危機一髪の事態を招いてしまったということだと思います。

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