キューバ相手に好投した松坂

東京ラウンドを韓国に次ぐ2位で第2Rに進出した日本。サンディエゴの初戦は(今も)アマチュア世界一と言われる強豪キューバとなった。キューバチームのユニフォームは帽子が広島、ユニフォームが一頃の近鉄バファローズを思わせる。対するジャパンのユニフォームは社会人野球の三菱といったところか。
日本チームはその初戦を前に一つの小さなミスを犯した。時差の関係で松坂大輔投手の練習試合への登板にストップが掛かった。日米間には時差があり、中4日の登板間隔になるので当番に問題はないと日本チームは考えていたのだが、WBCのルールでは米国時間で判断することになっていたのだ。練習試合への登板が直接キューバ戦での投球内容に必ずしも影響を及ぼす訳ではなく、また試合で松坂が好投すれば問題ないが、投球内容が悪ければこのミスが一因として挙げられるに違いない。「取るに足りない小さなミス」であっても、それは「防ごうと思えば防げた筈のミス」であり、また野球の試合…特に短期決戦や大事な試合では小さなエラーが失点や敗戦に繋がることが多いだけに気になるところである。
2回表、先頭の小笠原が四球で出塁する。ところが牽制で刺されてしまう。ピッチャーのチャプマンは160キロを超える速球を投げる左腕だが、ランナーが出てもクイックで投げない。日本チームとしてはそこが付け入る隙の一つなのだが、チャプマンが足を上げたことで小笠原は逆を突かれてしまったのである。ところが次打者内川も四球で出塁。チャプマンの3球目、足が上がったところで内川はスタートを切るが、これも何と牽制で内川は塁間に挟まれてしまう。浅い回でチャプマンを捕まえる好機だっただけに悔やまれる走塁となった。
3回表、2回で3四球のチャプマンは制球を気にしたのかストレートが走らなくなったところを、城島・岩村が無死から連続安打、イチロー犠牲バントでは進塁はならなかったものの、片岡にもヒットが出て満塁となったところでキューバは投手交代、左サイドスローのノルベルト・ゴンザレスがマウンドに登る。青木への3球目、外角スライダーをキャッチャーが後逸、3走岩村が生還し日本に先取点が入る。さらに青木のヒット、四番村田が犠牲フライで3対0とする。
日本は4回城島のフライをライトが見失った二塁打をきっかけに、5回村田の死球出塁を足掛かりに1点ずつ追加、さらに9回代打川崎がヒットで出塁、村田のタイムリーで計3点を加えた。
一方、調整が心配された松坂は単打、ポテンヒットは生まれるものの要所を締める安定したピッチング。リードをもらった3回裏には、その調子の良さを裏付けるようなピッチングを披露する。左翼への邪飛を太陽が目に入ったイチローが落球、3塁ベンチ前への邪飛を城島が落球する。ピッチャーのテンポを崩しかねないプレーが続くが、松坂はこの回の三つのアウトを野手のミスをエースが抑えるという雰囲気で見逃し三振で奪う。
結局松坂は6回86球を投げて8三振5安打無失点という十分な内容。7回岩隈・8回馬原とリレーし最後を藤川がトップバッターに二塁打を許すもののキューバを0封。東京ラウンドで韓国にコールド勝ちの後0−1で敗戦した嫌な雰囲気を吹き飛ばす快勝となった