ekiden_racer2008-11-20

【事故概要】
20日午後0時40分ごろ、広島県廿日市の私立くすのき幼稚園のすべり台で、3歳の女児がすべり降りた際に衣服が手すりに引っ掛かり、首が絞まって意識重体になるという事故が発生しました。
すべり台は園庭のアスレチック風遊具に付いている、高さ1.35m(幅50cm、全長2.5m)の真っ直ぐすべり降りるタイプのものです。若干傾斜がきついように見えますが、大人の目の高さ程度のすべり台ですので、3歳児が遊ぶのに特に問題はないと思います。
ただこのすべり台の手すりは、Tの字状に手すりの上辺が出っ張っています。多少Rはつけてあるようですが、手すりの上部は上向きに突き出ており、見た目にも少々危なっかしく感じられます。
3歳の女児は毛糸製のポンチョタイプの衣服がすべり台手すりの上部に引っ掛かったまま滑り降りようとしたために、体重で首が締まるような格好になってしまい事故が起きました。
同園の園庭は約1000平方メートルと広大で、昼食後の休憩時間であった同時刻には約100人の園児が園庭で遊んでいました。職員二人がいましたが、別の園児の知らせで3歳女児の異変に気づき、助け出されて119番通報で病院に搬送されましたが、意識不明の重体です。
【蓋然的な危険を孕んだ遊具】
社団法人公園施設業協会が制定した遊具の安全に関する規準(案)JFPA-2008によると、「子どもが容易に触れる可能性のある部分には、不意に着衣の一部やカバンのヒモが絡まったり、引っ掛かったりすることが起きないように配慮しなければならない。特に落下が予測される箇所、滑降系遊具の滑り出し部分や滑降面などには、絡まったり、引っ掛かったりする突出部や隙間があってはならない。」とされています。
ところが、くすのき幼稚園に設置されているすべり台を見ると、滑り出し部分の手すり形状に突出部があり、またすべり台自体が出発部の踊り場の片側に寄っていて、反対側には隙間があることが判ります。つまりこのすべり台は、同基準(案)によると、突出部も隙間もある蓋然的な危険を孕んだ遊具であったということになってしまいます。
さらに、このすべり台は減速部分と着地面(砂場)が同一の高さであり、15〜38㎝の高さが確保されることが望ましいとする文部科学省の「学校に設置している遊具の安全確保について(H14)」というガイドラインにも抵触しているようです。

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