ライブドアは昨年の近鉄バファローズ買収計画やパリーグへの新規参入で一躍有名になったポータルサイトの会社である。IT関連の企業だとか、インターネットに関係する会社らしいということはわかるのだが、実際に何をしている会社なのかよくわからない。その会社の資産価値が3000億円を超えるというのだから、大きな会社のようだ。ヤフーみたいな会社、といえばわかりやすいかもしれない。その説明にしてもヤフーを知らない人には通用しないわけだが、現在私はインターネットを開く際に、ヤフーのトップページをホームページにしていて、そこからメールを確認したりニュースを読んでみたり、オークションに参加してみたりする。
 ライブドアニッポン放送の35%の株主になった、というのでそのニュースの内容を調べたりライブドアという会社や社長の堀江貴文という人について調べていくうち、ライブドアのブログに社長日記というのがあり、そこで株買収についての話なんかも簡単に書かれている。当事者の意見が開陳されているのだが、公開する以上は逆に明かしたくない手の内には一切触れていないわけで、所詮は建前に過ぎない。
 ところでライブドアニッポン放送の株式に目をつけたのは、ニッポン放送フジサンケイグループのトップ企業であるフジテレビの筆頭株主であるからだ。ラジオ局のニッポン放送はテレビ局のフジテレビよりずっと小さな会社だが、その小さな会社の経営権を握ることができればフジテレビをコントロールできる、というカラクリである。実はフジテレビはライブドアニッポン放送の株買収に乗り出す前に、ニッポン放送の株式を50%以上獲得することで子会社化する計画を明らかにしていた。そのフジテレビの方針にライブドアが横槍を入れたのである。しかもただの妨害でなく、下手をすると自分が乗っ取られてしまいかねない危機だ。ライブドアのやり方は商法上何の問題もないが、その株が規制を受けない時間外取引によって獲得されたものであることは法の不備を衝いたものだとして問題視されている。
 堀江社長はネットと既存のメディアであるラジオの融合で新しいビジネスチャンスを拓くと言い、同時にフジテレビに対してもお互いにメリットがあるから提携しないかと持ちかけた。これに対しフジテレビの日枝社長は、自社の経営方針に何の断りもなく株取引を妨害し、乗っ取りを企むような相手と提携したり話し合ったりするつもりはないとの不満を表明し、ニッポン放送の持株利率目標を25%に引き下げてこれを達成することで、大株主のニッポン放送による影響力を排除するとの対抗策を明らかにした。また、株主上位10人の持株比率が90%を超えると、商法の規定によりニッポン放送の株式は上場廃止になる。上場が廃止されると売買がしづらくなることで株価は暴落し、資産価値は減少する。
 このフジテレビの対抗策を受けた堀江社長はフジのそうした対応は予め想定済みだとして、フジテレビがニッポン放送株を25%保有する前に増資によってそれを阻止するとのプランを示した。ただし、増資には2/3以上の株主の賛成が必要で、自分が保有する株の資産価値を低下させる増資は現実的ではないという意見もある。堀江社長にはまだ誰にも明かしていない隠し球のプランがあるのか、それともフジテレビが支配できそうだという誘惑にかられて株の買い占めに乗り出したに過ぎないのかは今のところはわからない。また今後の株価の変動如何によっては、ライブドアに出資したリーマン証券という外資系企業がライブドアを乗っ取る可能性もあり、ひいてはこの外資系証券会社がニッポン放送とフジテレビを乗っ取るということも考えられなくない。
 さて、ライブドアという会社の話に戻ろう。ライブドアポータルサイトは、ヤフーのポータルサイトとそっくりである。ライブドアでブログを開設しようとしたら、偽名で開くことができた。アバター機能がついているので作ってみたが、登録できるアイテム数も用意されているアイテムもヤフーのアバターに較べるとあまりに少なく貧弱なのに驚いた。社長だけは強気だが、とても本気でヤフーに追いつこうとしているとは思えない。選択肢がほとんどない中からアイテムを選び出し、アニメ顔の何の変哲もない女の子が、ダンスを踊りながら出てくる。女の子にしたのは用意されている男向けの顔がどれも使えそうにないからだ。アニメ顔とキャラクターが動くのがライブドアアバターの売りなのか?操作性が悪くコーディネーションどころでないアイテムの貧弱さで、どうやってアバターを楽しめというのかわからない。私の見たところ、ライブドアは中身のない会社だ。もしかすると将来の展望というものも存在しないのかもしれない。資産というと次の新たな乗っ取り先につぎ込むための資金と、社長のキャラクター程度のものだろう。堀江社長は失敗してもゼロになるだけだという考え方の持主だが、成功して会社が大きくなっているうちは良いが、中身が何もないのではこれはシャボン玉みたいなものだ。堀江社長はもちろんバブルというものをご存じだと思うが、今の自分がバブルそのものであることに気づいているのかどうか少し不安だ。