衆議院の解散に伴う総選挙が行われ、即日開票の結果自民党が単独で三〇〇議席を超える圧勝となりました。
 昨今、自民党民主党による二大政党化が進んでいる、というのが政治の大きな流れでした。ところが小泉首相は「参議院の否決により廃案となった郵政改革について、国民の判断を仰ぎたい」と解散総選挙を行い、自民党は先の衆議院採決で反対に回った議員を公認しなかったばかりか、反対議員の選挙区に対立候補を立てるという強硬な手段で、党内の反対勢力を潰しにかかりました。
 その結果、政策論争に持ち込みたいという民主党の思惑は、郵政民営化を始めとする改革路線の賛否を問うという小泉首相が仕掛けた審判の前に霞んでしまい、自民対民主ではなく自民対自民の選挙というイメージが先行してしまいました。もちろん造反議員と言われる人たちだけでなく、野党も小泉首相の強硬なやり口を批判していましたし、自民党同士がつぶし合いを行う選挙区では、民主党が漁夫の利を得て勝利するのではないか、という楽観論も出ていたほどです。
 ところがどうも有権者は郵政改革を巡る自民党の内部分裂に目を奪われ、民主党の存在は全く霞んでしまいました。解散総選挙を選択した小泉首相でさえも、ここまで物事がうまくいくとは思っていなかったのではないでしょうか。