1985年から92年にかけて製造された松下電器の石油温風ヒーターで一酸化炭素中毒が発生して、死亡する人や病院に運ばれる人が出ています。メーカーは今年の4月に製品に不具合があることを認め、リコールという形で無償修理を行なう旨発表していましたが、自動車のリコールのように一人一人に通知するわけにはいかず、危険であることを知らないまま使った人が犠牲になってしまいました。また、きちんとリコールの補修を行なったにもかかわらず、一酸化炭素が発生して重体に陥っている人もいます。
 自動車のリコールは事故に繋がる危険性を孕んでいるものもありますが、その不具合で直接死に至るわけではありません。その自動車のリコールは確実にユーザーに伝えられる手段が確立されているのに、直接死に至る危険性のある温風ヒーターのリコールが購入者一人一人に伝わらないというのは歯がゆく感じられます。
 また、閉めきった室内で練炭を使用すると一酸化炭素中毒で死に至る可能性が高いことは一般常識として知られているところですが、松下電器製のこの温風ヒーターは建物に据え付けられるタイプで、排気を屋外に出す入排気管が備わっています。そのためユーザーは(排気管が詰まるなどのトラブルで排気ができなくなるようなことがない限り)、火鉢のように中毒を起こす危険性はおろか、室内で燃焼させるストーブや温風ヒーターとは違って、一酸化炭素中毒の危険がないどころか、空気を汚さない暖房器具であると安心して使っていたのではないかと思います。