松下電器はこの問題のある暖房器具を、無償で修理するか、5万円で引き取るという対応を取りました。問題があるのは外気を燃焼室に送り込むゴム管で、これを交換すれば引き続き安心して使える筈でした。ところが、松下は新しいゴム管に交換するのでなく、より寿命の長い金属管に交換しました。ところがどういうわけか、この交換した金属管が外れて一酸化炭素中毒が発生するという事故も起きています。その原因はまだはっきりしていませんが、ゴム管のようにフレキシブルでない金属管が取付後に温度変化によって伸縮を繰り返した結果、接合部分に隙間ができたのではないかと思われます。これは修理が不完全であったというだけでなく、逆に修理しなければ問題がなかったかもしれない器具に、わざわざトラブルを引き起こすような部品を取り付けたということになりますから、語るに落ちるとはまさにこのことだと思います。
 先週の金曜日から、松下電器は全てのCMを、この問題のある暖房器具のユーザーに危険を呼びかける告知に変えました。4月の時点で出荷台数と回収や修理のできた台数はわかっていた筈ですから、遅すぎる対応だと思います。
 ちなみに松下電器はこうした対応で約200億円の費用がかかったそうです。先日、みずほ証券の担当者が1株61万円の株を売り出そうとして誤って61株1円で販売し、数十分の間に数百億円の損害を出したということもありました。耐震偽装問題でヒューザーは買い戻しや立て替えの資金が捻出できないと言っていましたが、その額は150億円程度だったと思います。大企業であるからこそできる対応と、小さな規模の会社の安い商品を買うリスクというのはこういうところに表われるということかもしれません。