ライブドア風説の流布の疑いで強制捜査を受けたとの報に接したとき、事がこれほど重大な影響を及ぼすとは思っていませんでした。お騒がせ企業として知名度も高いライブドアを必要以上にマスコミが大々的に報じているという印象を持っていました。ところが強制捜査の翌18日にはライブドア関連株が値を下げたことをきっかけに個人投資家による売り注文が殺到し、東京証券取引所は全銘柄の取引を停止しました。東証のシステムでは一日の処理件数は400万件が限度で、それを超える取引件数が予想されたからです。実際18日の取引停止までの処理件数は380万件を超えていました。
 システムの処理が追いつかないことを未然に防ぐための対策としてはやむを得ないものとはいえ、それにより経済活動が停滞するばかりか世界第二位の取引量を抱える東証の信頼度を大きく損なうものです。今日も取引件数は390万件に至りましたが、前日の影響の大きさを懸念して取引停止は行なわれませんでした。
 さらにライブドア風説の流布に関しても、その詳細が明らかになるに連れ、単なる利ざや稼ぎなどではなく、ライブドア本体とその関連会社、さらにライブドアが出資した組合が一体となって株価を操作し、巨額の買収益を生み出す手法が繰り返されていることが明らかになってきました。ライブドアが出資した組合が既に買収済みの企業を、ライブドアが買収すると発表することで株価を吊り上げ、新株との交換で企業を買収し、組合はライブドアの新株を売却して利益を生み、その利益がライブドア本体に還元されるという仕組みです。
 今朝になって元ライブドアファイナンスの社長でありエイチエス証券の副社長であった人物が自殺しています。ライブドアの前進オンザエッジの頃からライブドアのこうした一連の取引に深く関わっていた人物です。
 ライブドアが本業の実績以上に市場から高く評価されているのは、ライブドアの巧みな企業買収によるものと考えられていました。しかしその企業買収を背景に法律に抵触する手法で巨額の利益を生み出していたことが明らかになったことで、ライブドア式バブルとでも言うべき企業成長という化けの皮が剥がされたように思います。