アメリカ産牛肉の輸入が再開されて間もないのですが、危険部位として取り除くことと決められていた背骨部分が輸入牛肉に混入していたことで農林省と厚生省は再び輸入を停止しました。食肉牛の全頭検査を実施している日本は、アメリカにも同様の検査を実施するよう要請していましたが、日米間では食肉牛に関する安全基準の解釈が異なり、また飼育頭数の規模の違いから全頭検査は行なわず、生後20ヶ月以下の牛の危険部位(脳と脊髄)を取り除いたものを輸入することで合意していました。
 当初日本は強硬に全頭検査の実施を求めていましたが、アメリカは安全性と管理体制は十分であり、全頭検査の必要はないとこれを一向に受け入れず、むしろ全頭検査にこだわり輸入再開への途を開こうとしない日本を非難する有様でした。そういう意味では日本はアメリカの意向に妥協するような形で今回の輸入再開となったわけですが、その矢先に「日本向けの輸出牛肉の条件の解釈を間違えていた」業者が、危険部位として取り除かれることとされていた背骨部分を除去しないまま輸出したのです。これは・アメリ農林省による業者への通知や指導が徹底しておらず・また危険部位の混入をチェックする体制が不十分なまま輸入が再開されていたことを意味します。たまたま愚かな食肉業者が間抜けなミスを犯してくれたお陰で、日本が神経質になっていたアメリカの牛肉検査態勢が、いかにいい加減なものであったかを証明してくれたと言えるでしょう。