アメリカで行なわれているWBC二次予選日本対アメリカ戦で、岩村が打ったレフトフライで西岡が3塁からタッチアップした際、塁審はセーフと判定したのにアメリカチームの監督のタッチアップが早いのではないかとの抗議を球審が受け入れ、判定が覆りました。この件についてどう思われますか?
●非常に後味が悪いというのが印象です。ビデオを見れば、西岡はレフトの選手が捕球してから塁を離れていることがわかります。けれどもWBCルールでは裁定にビデオを使わないことになっており、審判の判断に従わざるを得ません。ビデオを詳しく見ると、西岡は捕球前に上半身が動いており、ベースに接している足は捕球まで残っていたのですが、本塁近くにいた球審には西岡のスタートが早かったように感じたかもしれません。ですので球審アメリカチームからの抗議を受けて、塁審に確認してからジャッジすべきだったと思います。そういう点では審判の対応が悪かったと言わざるを得ません。結果的にアメリカのメディアもこの裁定変更には疑問が残ると報じていますので、そういう意味では球審自身も誤った判定をしたという汚点を蒙ったことになります。
 人間の判断に誤りがあるように、人の作ったルールにも不備があることは事実です。国際試合と言うことを考えると、ジャッジにビデオ判定を取り入れるべきだという意見もありますが、これももっともな提案だと思います。ただ今回のミスジャッジは、最終回で負けているチームが逆転できたかどうかという場面で起きたわけではなく、ジャッジによる不利を蒙った日本チームにもまだ反撃のチャンスは残されていました。その与えられた場で勝ち越せなかったことが敗因であり、ミスジャッジで負けたわけではありません。