思えば村井仁氏は郵政民営化に反対票を投じたことで先の衆院選で公認を得られず政界を引退したのでした。もっとも彼は党郵政民営化推進委員会の役員で、郵政民営化を推進する立場だったのですが、政府案には問題ありとして反対票を投じたのです。
 そうした真面目な姿勢は地元からも支持が高く、政界引退は惜しまれましたが、村井氏は自民党の国会議員として働くことに意味を感じており、無所属で議員活動を続けることに意義を見い出せないと引退したのでした。ただその後も知事選に立候補するために離党するまで自民党員でした。
もっとも昔話を始めると村井氏は小坂憲次氏と同様、羽田孜氏とともに新生党新進党では行動を共にし、自民党に復党しています。
 
 田中秀征氏が地方政治に興味がないと知事選立候補を固辞し続けたように、村井仁氏も地方政治には露ほども関心がないものと思っていましたから、知事選に立候補するとの話を聞いた時には大変驚きました。自民党県連が先に公募で決めた若林健太氏を降ろしてまで候補者を変えた裏側はよくわかりませんが、田中康夫対立候補には現職か元職の国会議員をぶつけなくては勝ち目がないという判断なのでしょう。

 村井氏は国会議員の頃、自身のHPでこまめに国会報告を行なっていらっしゃいました。更新がほとんどなされない議員のHPが多くあることを思えば、大変好感が持てました。村井氏が地方政治にどこまで意欲を持っていらっしゃるのかという点では一抹の不安があるのですが、県議会の各会派や市町村長の推薦を受けての当選ですから、田中氏のような自由な改革は難しいように思います。また当選後の会見で、超田中の改革を謳いながら改革らしい方向性を何一つ示せず、単純に県政を後戻りさせる発言ばかりをされていたのも大変気掛かりです。特に、「表現センターと記者クラブがどう違うか分からない。これから勉強する」との発言には呆れてしまいました。

 田中康夫パンドラの箱を開けるまで県民はさほど県政に興味を示していませんでした。けれど今では県民は県政を厳しくチェックし注目しています。特に県政を後戻りさせることには強い抵抗があると思います。9月の知事就任後、新知事がどれだけの手腕を発揮できるのか(できないのか)注目したいと思います。