8月下旬、アメリカのタワーレコードがネットによる音楽配信に客を奪われ経営が破綻したと報道されていました。それを聞いて私は、世界最大の音楽マーケットであるアメリカでは、既に音楽はネット配信が主流になっているのだとぼんやりとイメージしていました。
 ところが、サイゾーという雑誌の11月号に、タワー破綻の原因は音楽ネット配信とした報道は誤報だったという記事が掲載されていました。記事を詳しく見ていきますと2005年アメリカの消費者が音楽を購入した経路は       レコード・CD店        39.4%                       ディスカウント型量販店    32.0%                      インターネット通販        8.2%                      ネット配信ダウンロード販売  6.0%                  となっています(比率は金額ベース)。
 無論この年の統計だけで米タワー破綻の原因を突き止めるには不十分ではありますし、違法ダウンロードの影響がどれくらいあるのかということも気になりますが、主犯とされたネット配信の比率が僅か6%に過ぎず、レコードCD店と比較しても6分の1程度の規模でしかないというのには驚きました。しかもレコード店の経営を圧迫しているのはむしろ大型ディスカウントショップであり、ネット配信はネット通販よりもまだ規模が小さいというのです。
 こうまで偏重した報道となった背景には何かの思惑でもあるのかと思ってしまいますが、実際のところはアメリカ西海岸の経済事情にあまり詳しくない東海岸のニューヨークタイムスの配信記事を、意図的に翻訳してしまったことが原因のようです。

 海外の特派員がどうして裏を取らず現地の新聞報道を鵜呑みにしてしまったのかということには疑問を感じますが、私もこの文章を書くに当たって自分でも確認してみようと思ったのですがどうにもうまい具合に必要な統計を見つけることができませんでした。結果的に私も孫引きみたいになってしまって心苦しいのですが、こういうのは個人の匿名のブログでしか許されないことですよねw