<自殺>上司からのパワハラ訴え 鹿児島の中学女性教諭 (毎日新聞)遺書で「パワハラ」訴え、女性中学教諭が自殺…鹿児島 (読売新聞)

 このような見出しで、教員の自殺が報じられました。ニュース記事にはどのようなパワハラがあったと訴えられていたのかについては説明がなく、02年に音楽教師として鹿児島県の小規模中学校に音楽教師として赴任してきた女性教諭が、05年から専門以外の教科も教えるよう指示をされたが今年10月からは「指導力不足教員」として研修を受けていたとの背景が記されています。
 自殺なさった先生は大変気の毒だとは思いますが、自分の命を大切にしない先生には人を教える資格はなかったかもしれないという気がします。けれどそれよりも職場の問題、それも学校の先生という職場の問題でこうした事態が起きたことはちょっとしたショックでした。

 秋田県教育委員会が04年3月にまとめた「指導力不足教員への対応の手引き」によると、指導不足教員とは次のように定義されています。
     学習指導や生徒指導、学級経営等において、指導を適切に行うこ      とができず、児童生徒の教育への責任を果たせない教員で、研修      等人事管理上の措置を要すると認められた者をいう。
 さて、先生の間に指導力のばらつきがあるのは当然であり、指導力が不足していればその先生の上司である学年・教科主任や教頭、校長がその指導にあたることになります。また指導力不足教員と認定される先生が出ることは、その学校の校長の指導力が不足していることを意味しますから、校長にしてみれば、できれば「指導力不足教員」を自分の学校から出したくはないでしょう。だとすると「指導力不足教員」とは最終的に校長から指導のしようがないと匙を投げられた先生ということになると思います。
 上述の秋田県の手引きによると、こうした指導力の認定に対し不服を申し立てることはできるようです。けれども教頭や校長から指導力不足と見なされる教員は、日常の業務でも既に多大なストレスを蒙っており、そこで実際に不服申し立てができるほどのパワーが残っているかどうか疑問に思います。同僚や教職員組合などに相談をしたりできず、問題を一人で抱え込んでしまうような先生なら、そうした措置を権力を用いた嫌がらせだと強く感じたまま、どんどん追い込まれてしまうのでしょう。