社団法人日本ガス石油機器工業会はホームページで、過去20年間のガス機器の重大製品事故を社名や機種名と併せ公表しました。PDF形式の発表資料は件数も膨大で、事故原因について簡単なコメントが付されています。
経済産業省資源エネルギー庁原子力安全・保安院ガス安全課では以前から都市ガス事故情報データベースで、都市ガス事業者から報告のあったガス事故について詳しく公表していました。事故原因が詳しく分析されている反面、どの機種で起きた事故なのかは判りません。
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さて、パロマ製FE式湯沸し器で頻発していたCO中毒死亡事故は、メンテナンス業者による不正改造が原因でしたが、リンナイをはじめその後マスコミで名前のあがったハーマンや松下産業の解放式小型湯沸し器のCO中毒事故は、ユーザーが換気不十分な状態で使用したり、使用が禁じられているホースによる浴槽への給湯などの不正使用が一義的な原因です。
私も一昨年まで住んでいた住宅で、リンナイ製の解放式小型湯沸し器を使用していました。知識として湯沸し器を使用する際には換気が必要であることや、15分以上使用してはならないことは知っていました。夏場は台所の窓は開放され、換気は十分になされていますが基本的に湯沸し器を使用することはありません。逆に湯沸し器を使用する冬場は窓は締め切っており、廊下に通じる扉も閉めます。コンロを使っての調理中には換気扇を使用しますが、湯沸し器を使う食器洗浄時には換気扇を回すことはありません。つまり常時、換気不十分な状態で湯沸し器を使用していました。
時折妻が、湯沸し器の調子が悪いとこぼしていました。使用中に勝手に火が消えてしまうというのです。それでもその時には換気が不十分で不完全燃焼を起こしており、安全装置が作動して消火してしまうということには思い至りませんでした。機材が古くなって調子が悪くなってきたくらいにしか思っていなかったのです。湯沸し器の点火にはコックを押して種火が点け、手を離して燃焼状態にするのですが、ちょっとしたタイミングでうまく点火しないこともあります。一度消火したときに再点火してうまく火が点かないときも、点火方法に問題があるとしか思いませんでした。今にして思えば、幸か不幸か建てられてから古い住宅でしたので、機密性が低かったおかげで事故に至らなかっただけかもしれません。
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解放式小型湯沸し器に不完全燃焼防止装置がなかった時期のものを第一世代、ついたものを第二世代とすると、現行の不完全燃焼により消火した後に再点火できなくなった製品は第三世代ということになります。現在の目からみると第二世代以前の製品は、ユーザーがその危険性を十分に認識して使用しないと危険極まりないものと言えるかもしれません。先日からリンナイはテレビCMで開放式小型湯沸し器で死亡事故が発生していることや、使用の際には十分に換気をするよう呼びかけています。これである程度の危険性については周知が進んだかもしれません。
第二世代の安全装置は、再点火を繰り返すことで安全装置が無効化してしまう不完全な装置でした。けれどもそこに、単に消火するだけでなく不完全燃焼により安全装置が作動して消火し、換気を促す旨の表示や告知がされるような仕組みがあれば事故は防げたのかもしれません。機械が危険を察知して停止するような仕組みがあっても、それがユーザーにフィードバックされなければそれは不十分なように思います。ユーザーは機械が正確に動作していて停止したのか、それとも機械に不具合が生じて停止したのかが判らないからです。