長野県のローカルニュースで少々奇妙な報道がここ数日なされています。
●公文書の破棄に絡んで県の幹部職員がうその証言をしていた問題で、県議会の総務委員会はこの幹部から事情は聞かないことを決めました。●この問題は県の元経営戦略局の参事で現在、阿南介護老人保健施設の岡部英則所長が、「田中前知事から公文書の破棄を指示された」とうその証言をしたものです。●県議会の中には「岡部所長を参考人として呼び、うそをついた理由などを質すべきだ」といった意見があります。●しかし総務委員会では、岡部所長自身が公文書き棄の疑いで捜査の対象になっていることから「捜査の行方を見守るべき」として参考人としては呼ばないことを決めました。(SBCニュースより)
問題になっている証言というのは、05年6月、田中康夫知事(当事)の元後援会幹部による県下水道事業への働き掛け問題などの真相究明を目的に、長野県議長と県議会7会派による議員提案により設置された地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)、正式名称「県下水道事業に対する知事後援会幹部の働き掛け等に関する調査特別委員会」におけるものを指します。
結局百条委員会は06年3月、「田中前知事から公文書の破棄を指示された」との証言がなされたことを元に、「そうした指示はなかった」とする田中康夫知事(当事)が証言を偽証したと「賛成多数で認定」します。これを受けて長野県議会の有志は、田中康夫知事(当事)を偽証罪長野地方裁判所刑事告発しました。
ここにきて百条委員会の存在基盤とも言える証言が嘘だったということが明るみになり、本来であれば委員会設置を提案し、多数決で偽証だと認定した議長・県議は進退を問われる立場である筈です。にも関わらず捜査・裁判を優先し、本当に偽証をした元参事を問い質すこともしないというのは自らの責任すら放棄していると言わざるを得ません。そして現在の長野県知事は、この主流派自民党県議団により擁立された人物です。

田中康夫知事(当事)と対立していた長野県議会会派はそれまでにも、知事の不信任や知事による人事案の否決など、議会でことあるごとに対立していました。田中康夫知事(当事)の独善的な手法に対する批判もありましたが、それ以上に田中憎しとばかりに露骨に知事に対立し、議会・県政を空転させる県議会主流派には批判の目が向けられていたことは事実です。知事も県議会議員もともに選挙で選ばれます。ただ県議選は中選挙区制であるために主流派議員はどれだけ批判を受けても地盤組織票を動員し再選を果たしてしまうのです。つまり何をしようが(しまいが)安泰でいられるのという訳です。でないとここまで腐ることはできないだろうと思います。