8日、コースター事故を起こしたエキスポランドは、JIS(日本工業規格)の検査標準を守っていなかったと各マスコミが報じていました。エキスポランド建築基準法で年に一度義務付けられている定期検査は行っていたけれども、その検査に於いてJISの標準を守っていなかったというのです。これに対しマスコミは国土交通省の「(同標準は国が順守を指導しており、エキスポランドの対応は)不適切と言わざるを得ない」との指摘を引いて、批判的に報道しています。
けれども建築基準法で義務付けているのは50近い項目に対してA(問題なし)B(要注意)C(要交換)の3段階評価に過ぎず、その検査方法についての定めはありません。国土交通省はその検査方法についてはJISの検査標準を順守すべきだとコメントしているのですが、その一方で検査報告を受ける都道府県および市に対して、検査方法のJISの検査方法を義務付けている訳ではありません。JIS規格自体は「任意標準」に過ぎず、法的拘束力もなければ義務でもないのです。手続きとして法規に引用して強制標準としなければ、義務付けることはできません。
事故を起こしたエキスポランドのこれまでの対応は確かに適切なものであったとは言えません。けれどもエキスポランドだけでなく全国遊園地施設の23%がこれまでジェットコースターの探傷検査をこれまで行っていなかった*1ことから判るように、建築基準法で義務付けている検査の内容を定めていなかったことが不適切だったのであり、エキスポランドの対応を不適切だと評した国土交通省のこれまでの対応こそが不適切だと思います。

*1:NHK調べ。読売新聞の調査によると、過去一年間に探傷試験を実施していなかった遊園地は全国に55(回答のあった遊園地の46%)にのぼる。