政治家として一番信用が置けないのは、何を考えているのか判らない政治家です。ただ施政指針に「美しい国」などと掲げるような政治家は、余程汚い奴なのだろうと思います。

さて、5日の民放に出演した安倍総理は、「消費税を上げないとは一言も言ってない。一言も言ってませんね」と秋の税制改革論議で消費税の引き上げも視野に入れていることを明言しました。参院選を目前に控えたこの時期、ただでさえ久間防衛大臣の辞任問題が尾を引いている中で、与党にマイナスとなる消費税論議をぶち上げたことは大変驚きでした。勿論これはテレビの取材に応じての発言ですが、消費税を参院選の論点としたくなければもっと他の言い方がある筈です。ではなく安倍総理は、むしろ消費税率引き上げを前提とした税制改革に取り組むと明言したのです。
大変驚きました。

さて、どうしてわざわざこの時期に総理自らが自分を墓穴に追い込むような発言をしたのでしょうか。安倍総理参院選で大敗し引責辞任が免れない状況となったので、もう秋の税制論議が必要な時期には首班ではないが故に、こうした無責任な発言をしたのではないでしょうか。
私は何も安倍総理を汚い奴だとは一言も言っていない。一言も言っていませんね。むしろ潔い、正直な政治家かもしれないと、この消費税についての発言を聞いた一瞬だけそう思いました。

ただ民主党小沢代表が過半数を確保できなければ辞任すると発表したことを受けての、「私どもは負けたことを想定して話しをするつもりは毛頭ありません」との発言はいただけません。太平洋戦争で、アメリカに原子爆弾の使用を決断させたのは当時の日本政府や大本営が戦争に負けたことを想定していなかった為だからです。ですので安倍総理に「毛頭ありません」と言われても、「これで会見が終わったという頭の整理で、しょうがないな」と思うことは断じてできないのです。