赤城徳彦農水相政治団体赤城徳彦後援会」が、茨城県筑西市にある実家を事務所の所在地として届け出、1990〜2005年の16年間に、計約1億2300万円の経常経費を計上していたほか、別の政治団体「徳政会」も、東京都世田谷区にある妻の実家に事務所を置きながら、1996〜2005年に計1496万円の経常経費を計上していたことが分かりました。
赤城農相は同日午後、農水省内で記者団に「(実家の事務所は)初当選以来まさに拠点。付け替えや架空計上は全くない」と説明しています。さらに、水戸市にある自民党茨城県第1選挙区支部事務所を使った後援会活動の経費も合算し、報告していると釈明した。実家は「祖父の代から後援会活動の中核の場所で、会合を開いている」と強調。事務所費については、「電話代や切手代、事務機器のリース代を計上している」と説明しました。
その一方で農相の父親は7日午前、共同通信の取材に「家賃をもらっておらず、事務所として使ったことはない」と話しています。また母親も同日、取材に対し、「家賃や光熱費は受け取っていない。秘書などはおらず、わたしたち(夫婦)が住んでいるだけ」と話し、事務所としての実体がないことを明らかにしています。但し母親は、以前赤城農水相農水省を辞め、選挙に出馬する際に実家を事務所としたと説明しました。しかし、「(その後)選挙の際には水戸の事務所が中心で、ここを使って活動はしていなかった。ここが(政治資金収支)報告書に記載されていることも知らなかった」と語っています。さらに「赤城徳彦後援会」の代表者として、政治資金収支報告書に記載があった元県議は同日、「自分の名前が使われていることも知らなかった」と述べています。元県議は「(事務所としての使用は)聞いたことがなく、実体はない」と話しています。「徳政会」の代表者の男性は「名前を貸していただけで、事務所の実体があったかどうかは分からない」と話しています。
赤城徳彦後援会」の経常経費を詳しく見てみますと、2005年までの5年間に総額約3100万円が計上されており、うち「家賃」に当たる事務所費は計約853万円ですが、その額は毎年変動し、最も少ない05年は約40万円、最も多い03年は約357万円となっています。そして光熱水費は計約300万円で、01年には約110万円もの額を計上されていますが、その後、約96万円、約92万円と推移し、04年は約12万円、05年には9660円しか計上されていません

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安倍内閣では先に、佐田玄一郎前行革担当大臣が事務所費問題で辞任しています。
佐田前大臣の場合は、実在しない事務所経費を自分の政治団体に計上したことを指摘されていました。佐田氏は架空だったことは否定していましたが、「自分の政治団体に別の政治団体の経費を付け替えた」などとして、不適切な会計処理だったことを認めて辞任しました。
赤城大臣は実家と妻の実家を事務所として届け出ています。これは実在しない訳ではありませんが、どうやら実体のない届出上の事務所であったようです。さらに別の場所にある「自民党茨城県第1選挙区支部事務所」を使った「後援会活動」の経費も合算し、報告しているとしています。その中身は「電話代や切手代、事務機器のリース代を計上している」と言うのですが、事務所費や光熱水費の年度別の額の開きが大きく、毎年同様の会計処理がなされていたとは到底思えません。仮に05年までの届出が法律上「不適切な処理とは言えない」のだとしても、これを適切な処理と言うことはできません。適切でなければそれは不適切なのであり、それを法律上適正に処理をしているというのは真実を隠すための強弁でしかありません。
赤城大臣のケースは、別の事務所での活動費用を合算しているという点で、佐田前行革担当大臣のケースと似ており、辞任が取りざたされるのは当然のことだと思います。また実際には事務所として家賃や光熱水費が発生しない実家にそれらを計上しているという点では松岡前農水大臣や伊吹文部科学大臣のケースと同じです。
松岡前農水大臣は、資金管理団体の事務所は家賃や光熱水費がかからない議員会館だけなのに、多額の事務所費や光熱水費を計上していました。
伊吹文部科学大臣も松岡前大臣と同様に、衆院議員会館資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら、01〜05年までの5年間に計2億2695万円の事務所費を政治資金収支報告書に記載していました。伊吹氏は「政治活動をしていく上で、必要な食料費、冠婚葬祭費がある。事務所費と人件費でしか処理できない」と釈明しています。それで辞任もせず罷免もされていないところを見れば、そうした食料費や冠婚葬祭費を実体がなく費用が発生しない事務所費や光熱費に付け替えることは、安倍内閣では不問とされるようです。
安倍総理は野党から辞任要求が出ていることに関し「そういう問題ではない。(赤城氏が)光熱費や事務所費、人件費という項目について詳しく説明したと聞いている」と述べ、法的問題はないとの認識を示したといいます。その安倍内閣は法律に盲点があることを認めたうえで、抜け道だらけの政治資金規正法改正を行った自分達できちんとした法整備すらしない汚い内閣だと思います。