7月16日午前10時13分、新潟県中越沖を震源とするM6.8の地震が発生し、新潟県柏崎市長岡市刈羽村、長野県飯綱町などで震度6強の最大震度を記録しました。この地震平成19年新潟県中越沖地震と名づけられました。名称として平成16年新潟県中越地震(2004.10.23)と紛らわしいだけでなく、平成19年能登半島地震(2007.3.25)と併せて時期・震源地ともに非常に近いのですが、専門家によると異なる断層で生じた別々の地震ということになるようです。
大きな地震の危険性を予測する指標として、空白域というものが知られています。地震は地中に溜まったエネルギーやひずみの開放であり、長い間大きな地震が起きていないところは潜在的な危険性が高いという考え方です。転じて素人考えでは一度大きな地震が起きたところは、当面の間は地震の安全域になるのではないかというように思われるのですが、どうもそういう訳ではないようです。過去にも1925.5.23の北但馬地震・1927.3.7に起きた北丹後地震の例が知られています。
天災ですから「いつどこで起きるか判らない」ものであるとは言え、台風や雷雨・豪雨・突風といった気象情報レベルの予測に向けた研究が待たれます。現在は50年単位の予測と、初期微動を利用した地震警戒警報ではなかなか実効的な対応までには至りません。
今回の地震では多くの古い木造の建物が倒壊し、亡くなったのはそうした建物の下敷きになったお年寄りでした。耐震偽装問題では震度5強地震で倒壊する惧れのある新築マンションが「住めない」と問題になったのですが、それよりも遥かに危険な古い木造住宅が多く存在しているというのが現実です。もちろん住宅を新築や建て替えする際には相応の地震対策もなされている訳ですが、年老いた親だけの世帯ではなかなかそうした建て替えにも踏み切れず、古い住宅が危険なまま放置されてしまいやすいのでしょう。住宅の耐震改修に対しては、費用分の税金が優遇されたり自治体が一定額の補助金を出す制度があり、高齢者のみの世帯ではさらに補助金の額を増やしたりという対策も取られてはいます。けれどもその前にまず、その住宅にどれくらいの潜在的な危険があるのか、耐震改修が必要なのかどうかといったことを判定する仕組みが必要であると思います。