北九州市の無認可の中井保育園で園の送迎車内に2歳児が3時間半取り残され、熱射病と見られる重い脱水症状で死亡するという信じられない事故が起こりました。どうしてこのような事故が起こってしまったのか、検証してみたいと思います。

  • 中井保育園は7階建てビルの2階にあり、常勤7人非常勤2人の保育士がおり、定員は40人。現在は26人の園児がおり、この日は一人が欠席していた。
  • 午前10時半ごろ、25人のうち5人を園に残した20人が550メートル離れた公園に7人乗りのワゴン車に分乗、数回に分けて送迎して遠足に出かける。
  • 午後1時半ごろ、園児たちは来たときと同じワゴン車に分乗し3往復して園に戻る。死亡した浜崎暖人ちゃんは3回目に26歳の保育士の運転で27歳の保育士と6名の園児とともに乗車、3列目に座っていたが、園児を下ろした際の人数確認や車内確認が不十分だったため、車内に取り残された。
  • 午後4時ごろ、おやつの時間に暖人ちゃんがいないのに気づき、園と周辺を探したが保育園東側の屋外駐車スペースにあったワゴン車は探さなかった(らしい)。
  • 午後4時50分ごろ、来園者のためにワゴン車を隣接した駐車スペースから250メートル離れた温泉施設の駐車場に移動させる。
  • 午後5時ごろ、別の園児が紛失した帽子を探すためワゴン車を訪れた保育士が車内2列目シートと3列目シートの間の床に仰向けになって倒れていた暖人ちゃんを発見。車内に冷房を入れるなどしたが回復せず。
  • 午後5時半ごろ、保育園から119番通報。
  • 午後7時ごろ、搬送先の病院で暖人ちゃん熱射病の疑いで死亡。

【背景】
北九州市では27日、この夏最高となる33.4℃を記録しました。またワゴン車を止めたスペースはいずれも屋外で屋根がなく、送迎時には冷房を入れていても炎天下では車内の気温は58℃に達し(気温32℃の条件下でウェザーニューズ社調べ)、こうした条件下では乳幼児は10分ほどの短時間でも重い熱中症になり死亡することがある(JAF)といいます。
【要因】
園児を下車させる際に人数確認や車内に忘れ物がないかの確認を怠ったことが置き去りを招いた最大の要因です。2歳児を車に乗せる際、チャイルドシートを使っていればベルトを外したり乗り降りの際には大人の介添えが必要だと思うのですが、そうした安全用具の着用や乗り降りはどうなっていたのか大変疑問です。
また全員の送迎が終了した際の点呼・人数確認が行われなかったことだけでなく、午後4時のおやつの時間まで人数が足りないことや暖人ちゃんがいないことに気づかなかった点については、園の子どもへの配慮や対応に至らないところがあったと言わざるを得ません。保育園では午後の時間、昼寝をするところが多いと思いますが、布団を用意する際などに気づくこともできたのではないかと思われます。
【発見の遅れ】
午後4時のおやつの時間になるまで暖人ちゃんがいないことに気づかなかった点もお粗末ですが、気づいてから園内を探し始めた際に車内に取り残されている可能性に思い至らなかった点は疑問が残ります。暖人ちゃんを最後に見かけたのはいつかと遡っていけば、午後はどうだったか、遠足ではどうだったか、朝はいたかと考え様々な可能性を考慮していくなかで、出掛けた公園で迷子になっていないか、車には乗ったか、ということも考慮されて然るべきだと思います。
4時50分ごろに車を移動させた際に、後列シートの間に横たわっていた小さな子どもを発見できないのは仕方がないかもしれませんが、帽子を紛失したとの申し出で車内の確認に行きそこで暖人ちゃんを発見した
と言うことですが、実はおやつの際に暖人ちゃんがいないと気づいたというのは虚偽ではないかとの疑いも出てきます。円では暖人ちゃんがいなくなっていることに全く気づいておらず、たまたま帽子がないと園児が気づいたことで、偶然暖人ちゃんを発見したということかもしれません。