先月27日に改造改革を発足させ、10日衆参両院で所信表明演説をしたばかりの安倍晋三総理大臣が12日午後に辞意を表明しました。そもそも7月29日に行われた参議院選挙で大敗を喫したにも関わらず続投を表明した訳ですが、本来ならそこで辞任すべきところをずるずるとここまで先延ばしにしてしまったという誤った判断と言わねばなりません。大敗をしたのに辞任しなかったのが第一の失敗、そして続投の体制を作りそれが動き出そうとしたところでやはり辞任しますと言った辞任時期の判断ミスが第二の失敗です。つまり誤った判断を塗り重ねたといういうことになります。
このところ政局となっていたのはテロ特措法によるインド洋での自衛隊の給油活動継続の是非で、参議院では野党が大勢を占めていることから、衆院参院の垣根を越えた対決が見込まれていました。9日安倍総理は給油活動の継続に職を賭して取り組むと表明していました。会見で安倍総理は給油活動継続のために「局面の転換」をしようとしたことを強調し、民主党小沢党首に党首会談を持ちかけたがこれが断られたことが辞意決断の引き金となったというニュアンスを匂わせています。
後継が党内で決まった訳でもなく、首相の側からの突然の辞意表明のようです。所信表明演説から2日ということだけでなく、今日の午後には代表質問が予定されている中での唐突な辞意表明です。速やかに後継選びをしなくてはならなくなった自民党も大混乱ですが、最後の最後に前代未聞のグダグダぶりを見せて安倍内閣は終焉を迎えました。「安倍はおぼっちゃん育ちだからな。総理大臣という最高のオモチャを手に入れて喜んでいたが、飽きればポイっと捨てた。ただそれだけのことだよ」(党関係者談)
ただ総理が会見で述べたことだけが辞意を固めた理由であるとはとても思えません。それは一因であることは確かなのでしょうが、このように唐突で不自然で無理な辞意表明を行ったのにはにっちもさっちも行かなくなるだけの突然の事情というものが何かあるのだと思います。それが健康問題であるのか或いは政治とカネにまつわる重大なスキャンダルが避けられないことが判明したのかからなのかは判りません。今後仮に健康問題という話が首相周辺から出てきたとしても、それももしかするとカモフラージュで実際のところは避けられない重大な問題が辞意表明の主因ではないのかと推測します。