今年初めてセパ両リーグで行われたクライマックスシリーズ(以下CSと略)はパシフィックリーグ日本ハムファイターズセントラルリーグ中日ドラゴンズが勝ち抜き、日本シリーズは奇しくも昨年と同じ顔ぶれの対戦が実現することとなりました。過去2年続けて、日本シリーズではパリーグ優勝チームの一方的な展開となってしまっています。四連勝や四勝対一勝では、敗れたチームは力も出せないまま訳もわからないうちにシリーズが終了してしまうことになり、見ている側としても面白くありません。日本シリーズはやはり両リーグの代表による戦いですから、それぞれの持ち味をたっぷりと味わわせて欲しいと思います。ですので今年は中日ドラゴンズには昨年の二の舞にだけにはならないよう頑張って欲しいと思います。
今年の両リーグのCSでは共通して、短期戦では先発投手の出来が試合を決定付けてしまうという傾向が見られました。ペナントレースではむしろ先発投手が崩れても中継ぎや抑え投手の出来が勝敗を分けることが多いような印象を受けるのですが、CSではそうした粘ってもつれる試合というものがほとんど見られませんでした。
次にパシフィックのCSは両ステージともフルに戦って決着がついた一方で、セントラルではタイガース・ジャイアンツともに全敗してしまい、CSではパシフィックは大変スリリングで見応えがあったのに、セントラルはいずれも肩透かしで終わってしまったという印象です。
さて、リーグ優勝したチームが出場できなくなる可能性があるということで、日本シリーズの意義というものもこうしたプレーオフ制度によって違ってきたのではないかという議論があります。ですが私はペナントレースが早々に決まってしまい、リーグ優勝決定以降日本シリーズまで消化試合になってしまうことが防げること、同様にペナントレースが進むにつれCS進出権争いともなるAクラス入りの戦いという新たな戦いが見られるといった利点から、CS導入は大変意義があると思います。またリーグ優勝チームにCSでアドバンテージを与えてはどうかという議論については、ペナントレースとCSは別であり、CSはCSで公平に勝利数で勝者を決める方が良いと思います。というのは、リーグ優勝チームの勝利数・勝率は5チーム(と交流戦の相手リーグ6チーム)によって決まるものであり、その上位チームの直接対決成績とは必ずしも一致するものではないからです。極端な話、下位チームからは確実に勝利できるけれど、上位チームとの対戦では競り負けているチームがリーグ優勝した場合、それではその二つのチームのどちらが本当に強いのかということは、何を元に強弱を決めるかということで評価が違ってくるからです。ですのでリーグ全チームとの対戦成績とは別に、上位チームの直接対決で日本シリーズ出場チームを決めるCSというものは、それはそれで意味があるものだと思います。
ただパリーグを制したファイターズも、CSでマリーンズに苦戦しました。リーグ優勝チームにとってはCS第2ステージは防衛戦ということになってしまいます。挑戦者として勝ち上がってきたチームには勢いがあるようです。ファイターズが防衛戦を勝ち抜くことができたのは、ダルビッシュという類稀なる若きエースがいたこと、そして彼が登板した試合に彼の持ち味を発揮することができたからだと思います。一方防衛戦に敗れたジャイアンツは、日頃の力を出せれば負けることはないと普段どおりの野球に徹した結果ドラゴンズに敗れたのではないかという気がします。ジャイアンツはCSを勝ち抜くには最大でも5試合しかなく、場合によっては8試合を戦う可能性のあるドラゴンズよりも投手起用には余裕があった筈です。普段どおりにやらず結果的に負ければ悔いは残ったかもしれません。ですがそうした消極性が3連敗という予想外の結果を招いたような気がします。