ekiden_racer2007-12-02

現在行われているアジア野球選手権は、北京オリンピックアジア予選を兼ねた大会となっています。そのため、オリンピック開催国である中国が出場8チームのうち1枠が与えられており、残り7つの出場枠をアメリカ大陸・ヨーロッパ大陸・アジア大陸・アフリカ・オセアニアが目指します。各地予選でアメリカ大陸の1・2位とヨーロッパ大陸予選・アジア大陸予選の1位チームには出場権が与えられ、残り3つの枠が来年の世界最終予選でアメリカ大陸予選3・4位とヨーロッパ大陸予選2・3位、アジア大陸予選2・3位とアフリカ・オセアニアの各1チームの上位3チームに与えられることになっています。(写真:6回2死満塁のピンチを三振で切り抜けガッツポーズをする岩瀬仁紀投手)
スポーツはルールの中で優劣を決める競技であり、ルールは絶対だと言うもののそのルール自体がどこまで公正・公平なものであるかという時点で疑問がないわけでもありません。出場枠を目指し予選を戦うチームと開催国特権で出場できるチームがあるのはどうか、また予選間でも出場チーム順位に違いがつけてあるのも不思議な気がします。     ※     ※     ※     ※     ※
さて、そのアジア野球選手権の2日目、日本対韓国戦1回表の日本チームの攻撃の際韓国チームのマウンドにはスコアボードの表示と異なる選手が上がりました。日本の星野監督は韓国チームのメンバー表を手に主審に確認を取りましたが、やがて了解したのかベンチに下がりました。
先発メンバーは各チームから試合開始一時間前に国際野球連盟に提出されます。これが記録員・報道機関・相手ベンチにも知らされるのですが、韓国チームはこのメンバーと試合直前に主審を交えて交換する先発メンバーとを7人入れ替えていたのです。アジア野球選手権のルールでは、一時間前の提出メンバーと試合開始時にメンバーを入れ替えることについて規定はありません。ですので、韓国チームは何もルール違反を犯した訳ではありません。
ですが事前の監督会議で、「メンバー提出はプレーボールの1時間前」と確認しあったという経緯があり、日本チームとしては紳士協定を反故にされたとの思いが残りました。ちなみに当初のメンバーでは右腕のダルビッシュ対策としてメンバーに名前を連ねていたと思われる左打者が、左腕の成瀬対策と思われる右打者を並べた打線に変更されていたそうです。
ルール違反ではないので韓国チームに問題はありませんが、こうしたやり取りはその後の勝負に微妙な陰を落とすことがあります。1958年三原脩監督率いる西鉄ライオンズ水原茂監督率いる読売ジャイアンツとの間で争われた日本シリーズ第6戦で、選手の怪我と回復に起因する予告先発メンバーの変更を水原監督が受け入れず、試合開始が40分遅れたことがありました。投球練習を繰り返しながら試合開始を待ち続けたジャイアンツの藤田投手は立ち上がりに崩れ2点を先取され、試合開始を待たされたことが藤田の調子を崩したと言われました。
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さてもう一つ気になったのは韓国チームの一塁手イ・デホ李大浩)選手のプレーです。天龍源一郎にちょっと似ているイ・デホ選手は韓国ロッテ・ジャイアンツで昨年三冠王を獲得した強打者ですが、この日は2三振で6回・8回の打席ではともにホームベース寄りに立ち、内角球を全くよける素振りを見せず、スロー再生するとむしろ体を自分からボールにぶつけて続けて死球出塁しました。
もっとも韓国チームがそういう「体を張った」野球をしてくることはよく知られており、昨年のWBC一次予選でも渡辺俊介投手が無四球でいながら三死球を取られたこともありました。ですのでわざわざ私がそのことをブログで取り上げることで逆によく野球を知る人からは「お前、野球が判ってないな」と言われてしまうかもしれません。
韓国野球は日本野球と較べても遜色はないと思いますし、実際国際大会で何度も苦杯を舐めさせられています。ところがWBCで二度も日本に勝利しておきながら、肝心の決勝で敗者復活から奇跡的にコマを進めてきた日本チームに負けてしまったりと肝心なところで勝利を逃しています。そうしたことと、ルール上違反にならないなら試合直前にメンバーを変更するとか、日本のルールブックでは避けなくてはボールデッドにならないのとは逆にボールに体をぶつけてくるといった姿勢が、肝心なところで勝ちを逃すことと無関係ではないような気がします。