中国ニュースの専門通信社「Record China」によると、3日朝、雲南省昭通市魯甸県楽紅郷楽紅村で食べたインスタントラーメンが原因で小学生4人が死亡する事件が発生したとのことです。死亡した4人は5年生の男児と3年生の女児2人と一年生の女児の4人。インスタントラーメンを食べた1〜2時間後、口から泡を吐き四肢がけいれんして意識をなくし、その後間もなく死亡したとのことです。ニュースでは一般の食中毒ではこれほどの短時間で死亡することは考えられず、毒が入れられた可能性や製造工程で化学物質が混入した可能性などが考えられるというと結んでいます。
後追い報道がないので4人がどのようにインスタントラーメンを食べたのか、4人が食べたのは同じ銘柄なのかといった詳細は不明ですが、驚いたのは中国ではこうしたインスタントラーメンによる中毒事件が頻発しているということです。

  • 03年8月、安徽省阜陽市臨泉県でインスタントラーメンによる中毒事件が発生、幼稚園児1人が死亡、小学生1人幼稚園児1人が入院。製造過程で殺鼠剤が混入したことが原因。
  • 04年5月、湖南省岳陽市で中学生25人が入院。
  • 06年10月、広西チワン族自治区百色市凌雲県で小学生31人が入院。
  • 07年5月、モンゴル・ウランバートルで中国製インスタントラーメンを食べた学生2人が死亡。製造過程で毒性の廃水が混入したことが原因。

このほか、製品から基準値を超えた鉛が検出される事件も発生しています。これは、品質管理・衛生管理が行き届かない多くの中小メーカーが廉価な製品を製造していること、またパーム油の価格高騰により廃油として捨てられた油を化学薬品などを使い見た目だけを普通の食用油に加工した地溝油を代わりに使うといったことも中毒事件を引き起こす原因となっているようです。
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日本でも1968年にカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油に製造過程で熱媒体として使用されていたPCBが混入し、肌の異常、頭痛、肝機能障害をはじめ色素が沈着した黒いあかちゃんが生まれるなど、約1万4千人が健康被害を訴えたカネミ油症事件が発生したことがありました。
当時の日本では人の健康や人が暮らす環境よりも産業の発展が優先するといった風潮があったことで、様々な公害が人々の暮らしを脅かし始めていました。今の中国社会は高度経済成長下にあったその頃の日本と重なるところがあるのかもしれません。それでも他の国で発生した健康被害や公害から学べるものは多くある筈です。にもかかわらず政府や指導者がそれよりも経済発展を優先するというならそれは愚かなことと言わねばなりません。
もっとも今の日本は消費期限を超過したと大騒ぎをするくらいですから、食の安全に対する関心が高い反面、企業側のモラルがどこまでそれに追いついているかというと怪しいところはありますし、実際に食品産業や飲食店で働いている人たちは食の現場でどのようなことが実際に行われているかはよくご存知だと思います。自分が作ったものを食べる人を思いやる気持ちを忘れてはならないと思います。