ekiden_racer2008-01-12

7日午後、北九州市の水道管工事現場で、3人の作業員が亡くなる事故が起きました。この水道管は工業用で直径が約1.1m。地下15mに264メートルの横管を敷設する計画で、約230mまで掘り進んでいました。地上からダクトで空気を送り込んで作業していたということですが、酸素ボンベなどは携行しておらず、酸欠に陥ったものと当初見られていました。
ところがその後、坑内に電動ドリルの電源としてガソリン燃料の発電機を持ち込んでいたことや、送風機ではなく機械を動かすためのコンプレッサーを使用しており、死亡原因は一酸化炭素中毒であることが判りました。
ガソリン燃料の発電機は酸素を大量に消費し、排気ガスを排出します。酸素が不足してくると一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は体内に取り込まれると酸素と結びつきやすくなるために中毒症状が起こりやすいことはよく知られています。こうした換気が悪い場所での内燃機関発電機の使用は労働安全衛生法で禁じられています。
また工事計画書では送風機を使用して8立方メートル/分の空気を送るとしていましたが、実際に使用されていたコンプレッサーは1.6立方メートル/分の送風能力しかなく、また空気を送るホースの長さも230メートルある横穴の半分までしかなかったといいます。
つまり今回の事故は、

  • 計画通りの送風能力のない装置で十分な空気が送り込まれていなかった【酸素不足】
  • 換気の悪い場所に発電機を持ち込んで使用した【一酸化炭素の発生】

ことにより起きたものです。
もちろんこのような作業計画では元請けや発注者に提示できる筈もありません。弱い立場の孫請けでは作業期日も迫ってくれば、こうした無理な作業・危険な作業であっても強行せざるを得ないのでしょう。そしてこれが今の「日本の現場」ということなのだと思います。