ekiden_racer2008-01-08

2006年8月に福岡市で起きた中の海道での飲酒追突事故(幼児3人死亡)で、福岡地裁危険運転致死傷罪を適用せず、業務上過失致死罪などで懲役7年6ヶ月の実刑判決を下しました。
昨年12月に福岡地裁福岡地検に対し、異例とも言える訴因変更を命じていました。ですので地検判決では危険運転致死傷罪の適用は見送られるのではと見られていましたが、そのとおりの結果となりました。
私には法解釈は判らない部分も多く、また無罪や執行猶予、或いは5年以下の軽微な懲役でなければ妥当な判決ではないのかと思いますが、ただそれでもどうして危険運転致死傷罪が適用されないのか二つの点で疑問があります。
一つは事故後、大量に水を飲むなどの隠蔽工作をしたうえで検出されたアルコール濃度である0.25mg/l(酒気帯び)を元にしていること、そしてもう一つは狭い道路を猛スピードで走り抜ける際に接触事故などを起こしていないことから運転に支障のある状態とは認められないとして、橋の上の直線道路を時速100キロで走りながら12秒間もわき見運転をするという無謀な運転も危険運転とせず過失としている点です。
裁判が「疑わしいでは罰せられない」ものであるとしても、隠蔽工作をしたうえで酒気帯びなのであれば、逆に運転時の容疑者の状態が酒気帯びであるとも認定できないとも言えます。たまたまそれまで接触事故などを起こしていなくとも、事故時に危険極まりない運転をしたのであれば、それを過失と言ってしまうのは容疑者よりの判断であると思います。
ただし裁判はこれで結審するわけではありません。逆に最初に無理をして危険運転としてしまい厳罰を処したうえで後からひっくり返されるよりも、最初に厳格すぎる法解釈で軽い判決が出て、後から危険運転が適用できないかと可能性を探る方が最終的に適正な判決を導き出せるかもしれません。
また問題の核心はどれくらいの処罰が下されるかということでなく、こうして飲酒運転に関する判決が報道などにより人の注意を引き、飲酒運転の危険性に対する認識を強くすることで事故を減らすことにあると私は思います。

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