ekiden_racer2008-01-31

このブログは速報性をモットーにしている訳ではありませんが、昨日の記事は夕刻に臨時ニュースが流れてからすぐアップしたものでした。
本論に入る前に、まずタイトルに関して二つ。パソコンでは「ギョウザ」と入力すると「餃子」と変換するのでこちらを使ったのですが、報道を見るとことごとく「ギョーザ」となっています。辞書では両方とも使われていましたが、どうやら外来語である中国語であるということで今は「ギョーザ」と表記することになっているようです。
そしてもう一つは「食中毒」という表現を用いていますが、食物に本来含有されている有毒成分が中毒症状を引き起こした場合が「食中毒」であり、過失や人の手により有毒成分が混入した場合には「薬物中毒」或いは単に「中毒」と使い分けが必要です。あまり深く考えずに「食中毒」という言葉を用いてしまいましたが、「中毒」とするのが適切でした。
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さて冷凍食品販売各社が自主回収商品を増やし、30日夜のニュースでは「該当する商品が家庭にあっても絶対に食べないでください」と呼びかけるなど大騒ぎとなりました。その後健康被害を訴える人が増え、昨日の段階で10人と言われていた被害者は今日の21時のNHKニュースでは415人、22時のテレ朝のニュース番組では470人と増え続けており、調査が進めばますます増えるのではないかと思われます。後から訴え出た人は比較的症状は軽かったようですが、事案発生から公表・注意呼びかけまでのタイミングが早ければ被害の拡大は防げたと思います。
ところがどうして実態の把握が遅れたかということを調べていくと「28日の段階で食中毒との情報がスーパーから保健所にメールでなされたが保健所は年末年始の休みに入っており、保健所がそのメールでの報告を受けたのは1月4日となった」という千葉市の保健所の事例や、「縮瞳などの症状が見られるという有機リン酸中毒症特有の症状を報告するFAXが、送信エラーによりその部分が送られていなかった」という事例が東京都と品川区との間で見られるなど、情報伝達において大変お粗末なミスがあったことが判ってきました。中毒症の発生から公表まで一ヶ月を要したというのは、事実確認や調査に時間が掛かっただけでなくこうした様々なエラーが随所で積み重なった結果ということのようです。
当事者にしてみれば「これほど重要な事案であることが最初から判っていれば対応のしようも違っていた」とは思いますが、「その内容の重要性に関わらず、小さな情報が伝わらないのであれば重大な情報も思うようには伝わらない」ことになります。もっとも「瑣末で膨大な情報が、本当に重要な情報の伝達を阻害する」ということはあるかもしれません。ただその場合でも情報の内容が瑣末であることや量が膨大であることが問題なのでなく、対応処理能力が不足していることが問題なのです。救急現場でトリアージが求められるように情報の判断・選別が必要になってくるのは、時間的・資源的に制約がある場合に限られた場合です。

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