ekiden_racer2008-02-05

3日午後4時ごろ、北安曇郡小谷村の栂池高原スキー場の立ち入り禁止となっていたコースでスキーの実習中だった愛知大学の7人が雪崩に巻き込まれ、重体だった二人の女子学生が病院で死亡しました。同じ3日午後、広島県安芸太田町の横川国設恐羅漢スキー場のコース外の林の中で30代と40代のスノーボード仲間7人が消息を絶ち、捜索が続けられていましたが5日午前、2人は自力下山し全員が救助されました。
二つの事故の違いは「雪崩」という非常に危険な自然現象に遭遇したのと帰り道がわからなくなったということのほか、一方が60代の指導者1人と20代の初心者6人という「一人を頂点とした縦の関係」であり、他方は同年代の仲間という「横の関係」であったことが大きいと思います。
栂池の雪崩では61歳の非常勤講師は「整備のため」と解釈して二度にわたって立ち入り禁止の札とロープを越えて立ち入り禁止区域に入り込み、さらに直前に起きたらしい雪崩の跡を見て「早く通り過ぎなくてはならない」と3度に渡って重大な判断ミスを犯しています。雪崩という自然災害に遭ったことは偶然という要素があったにしても、三つのセーフティーネットを乗り越えて、危険な領域に足を踏み込んでしまったのです。
このとき、判断を下したのはスキーのベテランでもあり実際に学生を指導する立場にあった講師一人だったと思われます。学生たちが立ち入り禁止とされているコースだから危険ではないかと考えたとしても、ベテラン指導者が大丈夫だと足を踏み入れれば大丈夫なのだろうと思ったかもしれませんし、或いは指導者にやめましょうと言い出しづらいとか提案しようとは思わなかったかもしれません。
一方、恐羅漢では全員が中・上級者でありメンバーの中で指導者的な役割の人がいたかもしれませんが、基本的には全員がイーブンな仲間で一人ひとりが判断し意見を出し合うことができたのだと思います。船頭が三人いれば船は山に登ると言いますが、この場合は逆に合議制による判断ができたことが良かったようです。偶然にも夕方5時半頃に山小屋を見つけるなどといった幸運もあったとは思いますが、結果として火を炊いて暖をとるなどして全員無事に冬の山中で二昼夜を過ごすことができたのです。

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