ekiden_racer2008-02-06

昨年12月、兵庫県と千葉県で中国製冷凍ギョウザに農薬「メタミドホス」の混入により重大な健康被害が出ていた問題に関連して、このこれより先に製造されていたギョウザから別の農薬「ジクロルボス」が検出されました。
昨年10月に宮城県で生協組合員から「薬品臭い」と苦情が寄せられ、11月には福島県内の生協店舗で「オイル臭がする」との苦情があり、店頭在庫からも異臭があったため、商品を引き上げていたのですが、当初はオイル臭が問題視され、検査の結果「トルエン、キシレンベンゼンが検出された」とされていました。事件を受けて再検査したところ、「ジクロルボス」が検出されました。トルエンベンゼンは農薬を溶かすための溶媒であったということです。

     ※     ※     ※     ※     ※

さて、中国産ギョウザの問題から中国の食品に対する「食の安全」が疑問視されるようになりました。問題の冷凍ギョウザの製造元である天洋食品の工場には厳しい目が向けられ、商品を一時保存する冷凍庫には鍵が掛けられていないなど、何者かが農薬を混入しようとすればできたのではないかといったことが言われています。
今のところ、何かの手違いで本来製品に入るはずのない農薬が混入したのか、或いは誰かが農薬を混入させたのかはわかっていません。また、工場で入ったのではなく、輸送中に入れられたという可能性も残されています。食品メーカーが製品の安全に万全を期すよう対策やシステムを整えていたとしても、どこかに「穴」があった、ということです。
ただ、中国製品には不安があるけれども、他の国で作られたものや国産品であれば安心だとは言い切れないのではないかと思います。中国の製造・輸送・流通は安全性が十分でない問題があり、国産のものは対策が万全で安心だということではなく、ただたまたまこれまで誰も国産の食品に農薬を混入させようとしなかったというのが正解だと私は思います。
このように大きな騒ぎが起こると、模倣犯というものが起こりやすくなります。中国は対策が不十分だけれども、わが国の製品やわが社の製品は対策は万全だと慢心することなく、現在万全だと思われている対策にもどこかに穴があるのではないかという、中国製冷凍ギョウザの事例を他山の石として生かす態度を、国産の業者にも持ってもらいたいと思います。
また消費者の側も国産品だから安心と考えるのでなく、商品を買う際・取り扱う際・口にした際に、どこかに異常がないか常日頃から気をつけることも必要なように思います。今回の中国産冷凍ギョーザの事例でも、一度口にして異常は感じたけれど食べた後に症状が出てしまい、それにも関わらずまた保管されていた同じ食品を再び調理して食べたという人がいました。原因が冷凍ギョウザと思い至らなかったのだとは思いますが、業者側が安全対策を徹底させていくと、消費者の安全への意識はここまで低下してしまうのかと愕然としてしまいます。

関連《中国産冷凍ギョウザ》
2008-01-30 中国製冷凍ギョウザで食中毒
2008-01-31 冷凍餃子中毒禍拡がる
関連《中国製食品の事故》
2007-12-05 中国でインスタントラーメンを食べた児童4人が死亡