ekiden_racer2008-02-19

【航空管制システムに障害】
18日16時半頃、東京航空交通管制部(東京ACC)のレーダーの表示システムに障害が発生しました。東京航空交通管制部は埼玉県所沢市にあり、本州を中心に日本の空域の約70%の航空管制を担当しています。システムがダウンしたのは「航空路レーダー情報処理システム(RDP)」で、ここに繋がるシステムの回線に障害が発生し、レーダー画面に便名や行先が表示されなくなったものです。東京航空交通管制部では、とりあえず表示されない便名・行先を手入力するなどして対応しましたが、処理に時間が掛かるため全国の出発機数を最大10分に1便に制限(羽田空港などでは通常2分に1便出発している)しました。システム障害は18時10分過ぎに復旧しましたが、結果的に全国の161便に最大2時間の出発遅れが発生しました。ちなみにこのシステムは04年4月にもプログラムミスによるシステム障害が発生するというトラブルが発生しています。
【首都圏の自動改札トラブル】
昨年10月12日、首都圏のJR・私鉄・地下鉄の600駅以上で、始発から自動改札が動かないトラブルが発生しました。これらの自動改札機はSuicaPASMOの相互利用システム対応機種で、ホストコンピュータとの通信障害かと見られていましたが、実際の原因はプログラムミスでした。83万行に及ぶプログラムの一部にミスがあり、極めて起こる確率の低いエラーが発生してしまったのです。
【利便性を求めたシステムの障害とは】
航空管制システムの障害ではレーダーは正常に働いていましたが、レーダー上の機影に便名や行先を自動的に表示する機能にトラブルが発生しました。これは管制官の作業補助機能にトラブルが発生したものであり、管制官が航空機の位置を把握できなくなったとか管制ができなくなった訳ではありません。
また自動改札トラブルは、駅に設置された自動改札機にホストコンピュータからその日の稼動を指示する送信が行われなかったのであり、自動改札機自体に問題があるわけではありませんでした。また各駅では既に高度な改札システムが導入されているために駅員が改札をしても対応できないため、自動改札機が使えない駅ではフリーパスで客を通すしかありませんでした。ところが乗る際に改札を通過したという情報が入力されないために、降りる駅で自動改札が稼動していて通過しようとするとエラーが出て改札を通過できないなど、実際の影響は自動改札機にトラブルの出た駅に留まらず影響は広範に及びました。
【本末転倒】
基本的なシステムに問題があるわけではないのに、利便性の為の補助的なシステム部分の障害が基本システムにまで干渉し、その障害が大きな影響を及ぼすというのを本末転倒と言うのでしょう。システムエンジニアの過酷な労働環境やシビアな納期制限がプログラムミスや検証・確認の簡略化を生み、またその対応にエンジニアが時間を取られてしまう為にプログラム作成や検証・確認に悪影響を及ぼすといった悪循環も指摘されています。