ekiden_racer2008-03-28

奈良の「平城遷都1300年祭」マスコット(愛称募集中)について、奈良・京都の寺の僧でつくる「南都二六会」からもデザイン変更の意見書が同祭の事業協会に提出されました。同マスコットについてはこれまでも「可愛くない」「違和感がある」「仏を侮辱している」「マスコットの選定方法に問題がある」等の指摘がなされてきました。
2007年の彦根城築城400年祭のマスコット「ひこにゃん」が可愛いと評判になり、さらにマスコットの意匠権について作者と同実行委員会との間でトラブルが発生したことでマスコミの注目を集めたりしたことから、奈良でも「同様の」可愛いマスコットが期待されていたのではないかと思います。
ところが大手広告代理店に依頼したコンペと同協会が委託した選定委員会が選んだ籔内佐斗司氏デザインのキャラクターは、そうした期待にそぐわないものでした。このマスコットとしての違和感がそもそもの論議を呼んだ元凶であることは間違いありません。
このマスコットをデザインした籔内佐斗司氏に問題がある訳では決してありません。ただ大会マスコットというアイキャッチャーの役割を担うものには第一印象や感覚的なものが大きく関わってきます。他にどのようなデザインが寄せられたのかは明かされておらず、何ともいえませんが広告代理店によるデザイナーへの依頼の方法や最終的にこれを選んだ選定委員会の「センスを疑わざるを得ません」。
またマスコットの選定方法としては(1)デザイン・名称とも専門家に委託(2)デザイン・名称とも公募(3)デザインを専門家に委託・名称を公募…といった様々な方法が考えられますが、同協会は(3)の方法を採ることにしました。ちなみに「ひこにゃん」も(3)の選択方法によるマスコットであることから、同協会がこの方法を選択したこと自体は決して間違ってはいなかったと思います。
ただしその専門家に委託した以上、そのデザインがこのように批判が多く寄せられるような事態になってしまえば対処のしようがありません。例え多くの人から違和感があるといった批判が寄せられたとしても、公募もしくは幾つかの候補の中から公募して選ぶという方法であればそうした事態は避けられたのではないかと思います。ここには事業体と委託(アウトソーシング)先との間で発生する問題の一つの図式が見られます。