ekiden_racer2009-03-24

WBCの決勝は同じ東京ラウンドから勝ち上がった日本と韓国の対戦となった。同じアジアの隣国同士ということからか、それとも60年前の韓国併合に端を発する対立関係からかマスコミからは「宿命の対決」と必要以上に煽られているような気がしないでもないが(私の見たところではそうした傾向はより韓国のマスコミにより顕著である)、韓国は半年前の北京五輪で金メダルを取った実績もある「野球が強い国」なのだから日本が優勝を目指す以上はどうしても韓国がその前に立ちはだかることは避けられないのは当然だろう。
そもそもどちらが上かということにあまり意味はない。国内に野球リーグを持っていたりメジャーリーグに多くの選手を輩出している国では、その中からメンバーを28人選抜してチームを作れば実力の伯仲したチームが作られるのは当り前のことであって、国間の間で差があるとすればその裾野の大きさでしかない。その点では日本のプロ野球アメリカのリーグには規模の点で遥かに及ばないし、韓国リーグはアマチュア組織も含め日本のプロ野球よりは規模が小さいというだけのことである。かつて大リーグ(当時はそう呼ばれていた)が日本に遠征して日本のチームと試合をすると大差がついたものだが、その差は少しずつ小さくなっている。つまり国別の選抜チームでなく選手のバラけたリーグのチームでは少し差がつくということだ。同じことが近年始まったアジアリーグでも見られる。
日本は決勝まで8試合を戦ってきたがそのうち韓国4試合、キューバ2試合、中国・アメリカと1試合ずつと2009年のWBCは「宿命の日韓戦」に終始してしまった訳だが、日本はこの決勝に東京ラウンド順位決定戦で好投しながら1失点で惜敗した岩隈と、日本に二つの黒星をつけたボン・チュングンが先発に上がる。ともに開幕前は日本のエースは松阪・ダルビッシュ、韓国のエースはリュ・ホンジン、キム・ガンヒョンと言われていた中、ともにこのシリーズで実力を発揮しキーマンとなる投手同士の対決となる。
日本は1回先頭打者イチローがヒット・4番城島が四球で出塁、2回岩村四球・片岡ヒットとランナーを出すが無得点に終わる。岩隈は1回2回と三者凡退と安定感のある立ち上がり。3回は中島のショートへの内野安打、青木のライナーを2塁手コ・ヨンミンが弾きエラー。僅かなところで2死ランナー無しで済んだところが無死1・2塁と日本にラッキーなプレーが続く。城島3ゴロの後、小笠原がライトにタイムリーヒットを放ち日本が先制。内川もライト前に続き一死満塁で緊急招集されたDH栗原。追加点さらに試合を大きく左右するチャンスだったが3ゴロ併殺に終わる。
さらに5回、先頭打者中島四球出塁に青木のヒットエンドランが決まり無死1・3塁のチャンスを作る。ここで韓国はここまで94球を投げたボン・チュングンに替えチョン・ヒョンウクに交代。続く城島・小笠原を三振に打ち取る見事なリリーフ。さらに青木のスチールはタイミングはセーフだったものの勢いあまって離塁タッチアウトの三振ゲッツーで無死1・3塁のチャンスを生かせなかった。その裏、先頭打者チュ・シンスがセンターにHRを放ち同点。拙攻が続く日本に韓国が追いつき、試合の流れが変わりつつあるところにコ・ヨンミンのレフト強襲ヒットを内川がナイスリカバリーでセカンドタッチアウト。さすがに世界一決定戦と思わせるスーパープレーで韓国に傾きつつある流れを守備で押し留める。
6回裏、1死後足の速いイ・ヨンギュが四球で出塁。足で揺すぶりをかけるが三振ゲッツーで流れを渡さない。逆に7回表は足の速い片岡がヒットで出塁、2盗を成功させてイチローセーフティーバントで無死1・3塁。勢いのある中島がレフトにタイムリーを放ち日本は三連打で再びリード、続く青木のライトへの大飛球をチュ・シンスが好捕、2走イチローはリスタートでタッチアップで3塁へ。城島のサードゴロは間一髪のダブルプレーで追加点ならず。日本の猛攻を韓国が紙一重で押し留める。
7回韓国はクリーンナップ、終盤最後に連打ではなく一発でまず同点狙いというところか、岩隈のカウント玉を左翼・右翼・左翼へと大きなフライを打ち上げる。岩隈は7回まで86球、以降日本の継投は馬原が昨日30球で登板できず藤川の調子が今一つで、杉内・ダルビッシュ・田中といったところ。8回、継投に入る前に追加点の欲しい日本は当たっている内川が一死からライトに安打を放つ。稲葉がスイッチしたリュ・ホンジnから一塁線強襲のフェアの打球はスタンドに入るエンタイトル2ベース。岩村のレフトへのフライは若干浅かったが、3走内川はスタートを切り送球が逸れて生還。貴重な追加点が入る。
7回裏も岩隈が続投。岩隈が好投する流れを取るか、初回から飛ばしてきた岩隈の球威はどうか。先頭打者イ・ボムホは2塁打、コ・ヨンミンのショートゴロで1死3塁、代打イ・デホはセンターに大飛球を放つが守備範囲の広い青木が後追してジャンピンぐキャッチ、3走のタッチアップを許すものの2死を取る。岩隈でこの回を締めたいところだがパク・ヒキョクに四球を出し降板。マウンドにはこれまでヒットを一本も許していない杉内が上がり、1-3からレフトライナーで締める。
9回表、韓国のマウンドはヤクルトのイム・チャンヨン。先頭打者イチローは2球目をライトフェンス前への2塁打。中島はバントで送れずセカンドライナー。韓国は青木を敬遠し今日は当たっていない城島と勝負。城島はセンターへの浅いフライ、小笠原が三振に倒れ攻撃終了。1点リード日本の9回のマウンドには一旦杉内が上がるが、韓国が代打チョン・グンウを告げたところでダルビッシュにスイッチ。先頭打者チョン・グンウを空振り三振で一死。3番キム・ヒョンスにはストレートの四球、4番キム・テギュンに連続四球。5番チュ・シンスには追い込んで4球で三振、ツーアウト。しかし6番イ・ボムホに三遊間を破られ同点。2死ながらランナー1・2塁と一打サヨナラのピンチは続く。7番コ・ヨンミンを三振に打ち取り延長戦に突入。
10回表、先頭打者内川がライトへのヒットで出塁。稲葉送りバント岩村がレフト前に続き1・3塁。片岡に代わった川崎はサード後方へのフライに倒れ2死でイチロー岩村が2塁に走り1塁が空いたがイム・チャンヨンは逃げる素振りを見せずイチローと勝負。どんな球にも食らいつくイチローの打棒がイム・チャンヨンの9球目をセンター前に弾き返し2点タイムリーとなる。中島への2球目はイム・チャンヨンは落胆したか死球。中島二盗で青木敬遠、城島に勝負をするが低めの球を見逃し三振。
10回裏ダルビッシュはカン・ミンホを追い込みながらも四球。韓国は最後の野手チェ・ジョンを代打に送るも三球三振。イ・ヨンギュは初球を浅いセンターフライで2アウト。チョン・グンウを4球目の外角スライダーを空振り三振に打ち取り、WBC連覇を決めた。