ekiden_racer2009-04-09

【事故概要】
8日、広島県呉市で6日に入学したばかりの小学1年生の女児二人が、下校の際にそれまで乗っていた路線バスに轢かれ1人が死亡し1人が重体となる事故が起きました。学校から児童自宅までは約750mですが、途中に道幅が狭く、徒歩での登下校が危険なため、当該地区の児童は路線バスを使うことになっていました。事故の現場となった道路も道幅が約3mしかなく、車の行き違いも困難であり歩道はありません。危険であるために徒歩通学ができないような道路ですから、バスの下車後は蓋然的な危険が伴う道路であったことは間違いありません。
入学まもないことから下校指導の教諭がバスに同乗していました。また運転していたのは勤務歴38年のベテランドライバーでした。ただし下校指導の教諭はバスを下車することはありませんが、教諭の数が限られていることからいずれにしても児童と一緒にバスを見送ることはできません。またこのドライバーは前日、車内でバス通学の小学生に対して注意した際の態度の苦情がバス営業所に入ったそうですが、これまで大きな事故を起こしたことはないベテランドライバーです。教諭の引率・指導方法に特に問題があるとは思いません。登下校時の安全確保については学校側は配慮は必要ですが、基本的にはそれは社会の担う役割です。またドライバーの運転に不注意が全くなかったわけではないとは思いますし、新入生であることへの配慮が不足していたところはあるかもしれませんが、それ以上の責任は負わせられないと思います(60歳のドライバーは自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕、女児1名が死亡したため同致死傷容疑)。
【事故詳細】
同じバス停で下車したのは1年生の男児が1名と事故に遭った女児2名でした。バス停には男児の母親が迎えに来ていて、バス停の道路の向かい側で重傷を負った女児の祖母が待っていました。死亡した女児の祖母は「今日は友達と一緒に帰るから」と迎えを断られたので自宅で待っていました。
男児と別れた2人の女児はバスの前を横切ろうとしてバスに巻き込まれ、運転手が「女の子がいたのには気づかなかった。音がしたのでバスを止めた」ところ、2人の女児は約10mほど引きずられてしまっていました。女児の祖母がバス停の側で待っていなかったことが悔やまれます。もう一点指摘すべき点があるとすれば、「道路を横断する際はバスが通り過ぎてから渡るようにしましょう」ということを徹底していれば、この事故は防げたかもしれないということです。
安全確保のための教諭による引率やドライバーの安全確認には穴があります。危険な道路を使ってのバス通学に際しては、あと一歩踏み込んだ安全対策が必要であったかもしれません。
この不幸な事故が「狭く危険な道路」で「子どもが十分な安全を確認せずに道路を横断」しようとし、また「バス運転手がこれに気づかなかった」ために起きた事故であることは間違いありません。それはもしかすると「ありふれた事故」で片づけられてしまうだけかもしれませんが、ただ安全指導として「バスを降りて道を渡るときは、バスが通り過ぎるのを待つ」という一つの簡単なルールを設け徹底することで防げたのではないかと思うと残念でなりません。