耐震工事先送り?

「小中2800棟耐震先送り…高校無償化余波」(読売新聞)
地震で倒壊の恐れがあるとして、全国の自治体が来年度中に着工予定だった公立小中学校など約5000棟の耐震化工事について、文部科学省の関連予算が約63%削減されたことがわかった。
2800棟に相当する規模という。学校の耐震化は国が最大3分の2を補助してきたが、鳩山政権が掲げた「高校授業料の実質無償化」で約3933億円の予算が必要となり、しわ寄せを受ける形になった。
文科省によると、自治体側からの要望があった約5000の学校施設の耐震化工事の関連予算は、約2775億円。自治体からの要望を審査し、使途を限定した補助金として交付する。毎年ほぼ満額が認められており、今年度は約3800億円が投じられた。だが、政権交代後は高校無償化予算を工面する必要から、政務三役らによる協議や11月の事業仕分けを経て、25日に閣議決定された政府予算案では約1032億円に圧縮された。

新しく誕生した民主党政権鳩山内閣の「コンクリートから人へ」という予算についての方針には基本的に賛成です。けれども「人の命」よりも「学費」が優先される政治というのは間違っています。
もちろん、必要な耐震工事が順延され、予定より遅れて耐震工事が完成し、その間「たまたま」大地震に見舞われることなく、結果的に「耐震工事を順延してでも高校無償化を実現できて成功だった」ということは起こり得ることかもしれません。けれどもそれはあまりにも安全を軽視し、危機管理感覚の欠如したものの見方であると思います。「今現在、耐震基準を満たしておらず、大地震に見舞われると倒壊する恐れのある校舎に通っている小中学生が存在している」ということが大変な問題なのです。
引用した記事によると、要望のあった関連予算2775億円が1032億円まで圧縮されたということですから、1743億円の耐震関連予算が高校授業料の無償化を優先させるために削減されたことになります。3933億円の高校無償化予算を削減された耐震関連予算1743億円を差し引いた2190億円にして、今年度の授業料無償化を55%…高校授業料の約半額を国が支援するという形にしてでも、必要な耐震工事を優先して進めるべきであると思います