溺れた子どもを助けようとした70代夫婦が死亡

富山県砺波市の70代の夫婦が、農業用溜め池に落ちた近くに住む7歳の男児を助けようとして溺れ、亡くなるという事故が起きました。(7歳男児は別の人に助けられて無事でした。)

溺れている人を見かけたときは、むやみに飛び込んだりせず、ロープや長い棒を使うのが良いとされています。至極もっともなお話なのですが、実際にそういう場面に遭遇すると慌ててしまい、なかなか適切な行動が取れないだろうと思います。

私も小さな子どもがちょっとした池にはまってしまったのを見かけて、大丈夫だよと声を掛けて助け出してあげようと思ったのですが、池に向けて落ち込んでいく斜面がぬるぬるしていて、同じようにはまってしまったことがあります。後になって棒なりロープなりを使えば良かったのかと思ったものですが、目の前に助けを求めている小さな子どもがいると、取るものもとりあえずそばに駆け寄ってあげなくてはと思ってしまいます。

さすがに足が付かないほどの深さがあり、泳いでいかないとそこまで近づけない距離があれば「どうすればいいだろう」と考えると思うのですが、自分でもどうにかできそうだと思える状況の方が、助けようとした人も溺れてしまう危険が増すかもしれません。

小学校のPTA活動でも夏休みのプール監視の役が割り振られることがありますが、事前に行われる救急法講習では「溺れている子供をどのようにプールから助け出すか」という段階はすっ飛ばして、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDの使い方で終わってしまっていないでしょうか。蘇生法は必要なものですが、それ以上に実際にプールサイドから溺れている子供を見つけ出したりどのようにして助け出すかのシミュレーションが重要です。少なくとも着衣で溺れている役の人を助け出すくらいの事前実習は必要かもしれません。

実際にそうしたシミュレーションなり経験があって初めて、いざ溺れている人や子どもを見かけた際に、自分に何ができるのか、どうすれば良いのかといった見極めができる筈です。ご夫婦が助けようとしたお子さんが助けられたのは幸いでした。けれどもそのご夫婦を助けられなかったことが残念でなりません。