説明責任を放棄した舛添都知事

前回の記事から1週間の間に、さらに舛添要一都知事の政治資金問題についてさらなる疑問点が指摘されました。
1.海外要人との交流目的に美術品を購入
2.自宅を政治団体事務所として夫人が代表を務める会社に家賃を支払い
3.解散した政治団体から自身の政治団体政党交付金を含む寄付
他にも政治資金で湯河原の別荘で乗っていた自動車を購入といった様々な指摘がなされています。こうした疑問に対し舛添都知事は会見の席で自らの口から説明することなく、「政治資金問題に精通した弁護士に厳正な調査を依頼し、そのうえで対応したい」としました。但し会見の時点で調査をしてもらう弁護士が決まっているわけではなく、「今のところそのつもりです」という話に過ぎないようです。
舛添都知事はもともと国際政治学者として朝まで生テレビで気鋭の論客として登場したこともあり、お話の上手な人です。疑惑が持たれた最初のうちは会見のほかに自らテレビに生出演して「政治活動の一環であり問題はない」と答えていました。しかし度重なる疑惑が浮上する中で「詳しく調査した上で会見で説明します」と発言のトーンが変わり、とうとう自分の口から説明するのでなく「弁護士さんに調査してもらう(ことにした)」と態度を変えました。
この度の対応は一見「第三者に公正中立な調査をしてもらう」かのように説明されていますが、その弁護士を選び費用を払うのは舛添都知事です。つまり舛添都知事に雇われた弁護士が調査をするわけですね。つまり「第三者」の公正中立性が確保されているわけではありません。
これは要するに、どれだけ説明してみても一向に納得してもらえず、このままではとても追求から逃げ切れそうにないので、政治資金の使途に詳しい弁護士という専門家に、どうすればこの窮地を脱することができるか相談しようとしているところだということに過ぎません。
東京都民や国民が舛添知事に期待しているのは、様々な疑念に対し舛添知事本人がどのように考えているのかを説明してもらいたいのであり、法的に問題があるのかどうかは二の次です。わざわざ「自分の口から説明することはしません」と宣言するような会見を開くのは都民を愚弄しているのと同じです。もはや舛添知事には都民に真摯に向き合う余裕がなくなり、「専門家に相談してから」という一時しのぎをするので精一杯という状況なのかもしれません。