なりふり構わぬ舛添都知事

昨日行われた東京都議会総務委員会の集中審議で、舛添都知事は質問終了後発言を求め、「不信任案提出はリオ五輪終了後まで猶予して欲しい」と発言しました。この時点では都議会最大会派である自民党都議連は不信任提出についての態度を表明していませんでしたが、舛添都知事の集中審議での回答や発言がこれまでの曖昧な説明の範疇を出ていないことなどから明日の本会議で自民党議連も含め全会派が統一して不信任案を提出することを決めました。

一連の疑惑に対する舛添都知事の説明は全くなっておらず、都民や都議会、国民の理解は全く得られていない状況なのですが、それでも説明に対する態度を改めず、それどころか不信任を猶予して欲しいとまで言い出す舛添都知事は、なりふり構わず都知事職に留まるべく、その為には手段も選ばなくなったものと思われます。

つまり、明日不信任案が可決しても知事は辞職や失職を選ばず、期限ぎりぎりの10日後に議会を解散、40日後に都議会議員選挙、そしてその都議会で改めて都知事に不信任案が提出され失職という、50日以上の延命策を選択する可能性が、否定できないどころかむしろ濃厚であるようにも思います。

舛添都知事の疑惑に対する説明の態度は、その時々によっていつものように上から目線で威圧的であったり、恐縮して平身低頭であったり、また「第三者」や「厳密な精査」や「一日も早く」といった同じ文言を繰り返すだけだったりと変わっていますが、「私は何も法的に違反はしていない」から(不適切とされた費用について返上するとか給与減額・無給で構わないといったものが加わるものの、)「この程度のことで知事職を退くまでのことは無いはずだ」という点で一貫しています。

私も都知事就任前からの疑惑や就任後の様々な問題は今後改めることで充分カバーできるものであったかもしれないと思うのですが、ひとえに舛添氏の説明がその時々において全く不適切極まりないものであったため、都知事を続けることは許されないという空気を世間に持たせてしまったように思います。例えば最初の疑惑である「週末の別荘への移動に公用車を使用している」「海外出張はファーストクラスでスイートルーム」という話が出た段階で、「知事としてあるまじき行為であり、今後は公務がない時も都内に留まり公用車での別荘移動やファーストクラス・スイートルームは取りやめ、さらに今後の給与は全額返上します」といった謝罪と今後の見通しを立てていれば、「そこまでしなくてもいいのに」との擁護論も出て、都知事就任前の公私混同疑惑まで蒸し返されることもなく、むしろ名政治家との誉れまで得ていたかもしれません。言うまでも無いことですが実際の舛添都知事は「公用車の使用はルールに則って行われており何ら問題がない」「移動先できちんと仕事をするためファーストクラス」「海外要人に面会するのにスイートルームが必要」「都知事が県外でも対応できるシステムになっている」と自らの非を認めないどころか自身を正当化し、そのうえ「湯河原は奥多摩より都心に近い」とまで言い放ちました。

舛添都知事が「第三者」としたお雇い弁護士がいみじくも指摘していたとおり、政治資金の使途についても「違法ではないが不適切」なものであり本来は是正すればそれで済むはずのものです。それをここまで問題を炎上させたのは他ならぬ舛添知事の発言や態度です。「不信任提出と議会解散」は炎上の最たるものですが、今ならまだ「知事辞職」という形で最大の炎上は回避することができます。もはやなりふり構わずになってしまった舛添知事にその期待は薄くなってしまいましたが、この土壇場で良識ある態度を見せてもらいたいものです。