ライブドアの社長堀江貴文氏が、亀井静香衆議院議員の広島六区から、無所属で立候補することになりました。自民党執行部の意向を受けて、亀井静香前議員への刺客としての立候補でありながら、何故無所属なのでしょう。自民党の公認を得た方が選挙活動にしても幅広く活動できますし、地方県連の支持も得られるので選挙には有利な筈です。
 詳細は明らかにされていませんが、自民党公認が得られないような事情があるのかもしれませんし、党公認よりも無所属である方が好ましい事情があったのかもしれません。またその理由が自民党の側にあるとも考えられますし、堀江社長の側にあると考えることもできます。

A 自民党が党公認を与えられない事情
 以前ライブドアニッポン放送の株を買収しフジテレビの経営権を握ろうとした際に、政府自民党から堀江社長の手法や彼自身を批判する声が挙がりました。そして今もなお、自民党内に堀江社長に対する批判的な空気が残っているのかもしれません。
B 堀江社長が党公認を得られない事情
 Aの理由に準じます
C 自民党にとって無所属である方が好ましい事情
 これもAの理由に準じます。さらに党公認を得て選挙戦を戦う方が有利なのですから、実は堀江社長が当選して議員になることを好ましく思っていないということが考えられます。自民党を離党した亀井前議員は自民党県連の支援を受けられませんが、選挙区に党の公認候補がいなければ地方組織は自由投票となり、これまでの関係から亀井前議員に投票する人も多く現われることでしょう。自民党にとっては、郵政法案に反対した亀井前議員が落選することは好ましいことですが、自民党にしてみればそれで堀江候補が当選するよりも、漁夫の利を得る形で民主党候補が当選した方が好ましいのかもしれません。或いは、堀江候補が当選するくらいならまだ亀井前議員が当選する方がましだと考えているのかもしれません。
D 堀江社長にとって無所属である方が好ましい事情
 党公認を得て選挙戦を戦う方が有利なのですから、党公認で立候補した場合は当選を目的として立候補したことになります。しかし立候補することが目的で当選することが目的でないなら、選挙が不利になる無所属の方が好ましいのかもしれません。また堀江社長には財力がありますから、党の公認を得て党の金銭的支援を必要としないという事情があります。さらに自民党の意向を汲んで立候補はするけれど、公認を得ないということで、堀江社長自民党に頼まれて立候補したのでなく自分の意志で立候補したとアピールすることができます。或いはこれまで人に使われた経験のない堀江社長が、単に自民党に使われる立場になることを好ましく思っていないだけなのかもしれません。

 AからCのケースはそれぞれ対立する項目ではないので、複数の事情が合わさった結果が無所属での立候補と考えた方が自然です。ただしCのケースは理解に苦しむ事情です。自民党が誰を当選させたいのかがあやふやであるうえに、自民党執行部が反対派の亀井前議員や対立政党の民主党候補を当選させたいとは普通考えられないからです。ですからCを除外して、ABDの事情が合わさって無所属の立候補となったと考えるのが良さそうです。
 けれどその場合でもDのケースについてはもう少し考えなくてはならない点があるように思います。普通は当選を目的として立候補するわけですが、Dのケースを容認するには堀江社長が当選を望まないだけの事情があることを立証しなくてはならないからです。

D’堀江社長が当選を望まない事情
 堀江社長ライブドアという会社の社長です。会見では社長業と議員の両立は可能だと答えていますが、彼が本当に望んでいるのはどういうスタイルなのでしょうか。・のケースを容認するなら、堀江社長は実は当選を望んでいない、或いは議員バッジにさしたる固執はないということになります。