<上申書殺人>元組長ら8人逮捕 他の2件追及へ 茨城県
民事で「他殺」認定=生保に保険金支払い命令−塩尻の男女死亡・長野地裁支部

警察関係の二つのニュースが立て続けに報じられました。一つは死刑判決が出され上告中の被告による上申書によりこれまで病死とされていた社長が殺人事件であったというもの、そしてもう一つは自殺と他殺の両面から捜査中の事件について保険会社が自殺であるとし生命保険が支払われないことに対する民事訴訟で、地方裁判所が「第三者による他殺と考えられる」として、生保に保険金全額の支払いを命じたものです。

上申書は2005年10月に出されたもので、茨城県警は3件の「事件」のうちようやく1件について捜査のうえ殺人事件であると断定、保険金殺人に関わった8人の逮捕者が出たというものです。事件に関わった犯人が上申書という形で犯行を「自供」しなければ、社長の殺害に関わり多額の保険金を手にした関係者たちは何事もなかったような顔をして普通の生活を続けたのでしょう。

塩尻の男女死亡事件は、死亡した女性が売れっ子のAV女優であることや、心中として片付けてしまうには不可解な点が幾つもあることで、多くの人からその捜査の行方が注目されていました。また遺族は県警に対し、殺人事件として捜査本部を設置するよう行政訴訟を起こしましたが、2004年に地裁で却下されています。
遺族は刑事から「事故の可能性は薄く事件に巻き込まれたという情報もないので、自殺或いは心中ではないか」と言われており、事件現場に立ち入りを禁ずるロープすら張られていなかったことなどから、「警察は無理心中との見方を強めており、きちんとした捜査がなされていないのではないか」との不信感を抱いています。
所轄所の刑事課による通常捜査と、本庁に捜査本部が設置される場合とでは投入される捜査員の数にも差があります。また自殺・他殺の両面から捜査するのと、殺人事件であると断定したうえでの捜査とではその質も違ってくるでしょう。しかし事件発生から4年以上が経過してからの捜査では全てが後手に回ってしまいます。それこそ別件で逮捕された犯人が自白でもしない限り、捜査は犯人まで届かないのではないでしょうか。