韓国ソウルで市内バスが爆発

ekiden_racer2010-08-10

  • 事故概要

9日午後、韓国ソウルを走る市内バスが信号待ち中に突然爆発、乗客12人と通行人5人が重軽傷を負う事故が起きました。爆発したバスはCNG(圧縮天然ガス=Compressed Natural Gas)を燃料としており、床下の8つのボンベのうちもっとも運転席に近い側の1つが爆発したとみられています。

  • 原因はCNGボンベの爆発か

爆発の原因はまだはっきりとわかってはいませんが、同バスが2002年に導入され廃車を控えた老朽車であったことから部材の劣化や整備ミス、ボンベ自体の欠陥といった可能性が指摘されています。CNGのボンベはPNG(液化天然ガス)のボンベの約10倍の強度があり、暑さによる爆発は考えづらい一方で、全数検査でなく肉眼検査によるサンプリング検査しか行われていない為に不良品が出る可能性が高いとの指摘があります。
また今回の事故では、バスの床がCNGボンベの爆発の衝撃に耐えられるものではなく、一旦ボンベの破裂や爆発が起これば乗客に危害が及ぶことは避けられないものであることが明らかになりました。

  • 韓国のCNGバス事情

韓国では2002年から排気ガスをほとんど排出しないCNG車両が公共車を中心に本格的に導入され、全国で約2万5千台のバスや清掃車が走りソウル市内のバスの95.8%にあたる7234台がCNGバスとなっています。過去にも7件のCNGタンクの爆発事故が起きていますが、いずれもガス充填時に起きた事故で、今回のように運行中に爆発した事故は初めてです。

  • 欧米ではボンベを屋根上に設置

なお欧米で導入されているCNGバスでは、ボンベを屋根上に設置しています。これは万が一ガス漏れが発生してもガスが空気中に拡散しやすいので、爆発の危険性を軽減できるからという理由からです。韓国では重心を低くできることや見栄えを優先して床下に設置されていますが、これにより漏れ出たガスが溜まり引火を招きやすいとの指摘もあります。

  • 日本のCNGバス

CNGバスは日本でも1994年頃から「低公害バス」として都市圏を中心に試験的に導入が進められ、1998年以降は高圧ガス保安法の関連規制の改正によりボンベを屋根上に設置できるようになり、低床化された「低公害ノンステップバス」が見られるようになりました。東京の都営バスで全体の3割にあたる約700台がCNGバスとなっています。