舛添都知事・辞職で幕引き

舛添都知事は14日夜遅くに自民党都連から求められていた辞職要求を受け入れ、翌15日に代理人を通じて都議会議長に辞職届を提出しました。時間を遅らせて15日18時から開かれた都議会本会議で舛添氏は辞職にあたっての挨拶を行いましたが、そこで都民に対する謝罪の言葉はありませんでした。辞職の期日は20日付けで空席となる副知事(知事職代行者)任命のために21日となりますが、17日の定例会見も20日に予定されていた集中審議も行われず、さらに共産党都議団から出されていた百条委員会開催動議も否決されたため、今後疑惑追及も都知事からの説明や謝罪の機会も設けられないまま、舛添氏は都知事を退くことになりました。

これまで舛添都知事を支えてきた自民党公明党からも辞職要求・不信任案提出がなされたことで、もはや自公とも舛添知事をコントロールできない状況になったと見ていたのですが(そのため不信任案が可決されても知事は辞職せず議会の解散を選ぶのではないかと予想しました)、自民党都連の中で実力者である内田幹事長が「せめて9月まで知事職に留まらせたい」との意向を持っていたらしく(舛添都知事もそうした後ろ盾があることでそう訴えていた)、参院選への悪影響を懸念した自民党本部から都連への圧力もあったのか、舛添都知事の最後の砦であった都連幹事長も9月までの残留でなく即辞職を促したことで急転直下の辞職表明となったようです。

都議会本会議での最後の挨拶にしても辞職表明に至る決断過程においても、舛添都知事が見ていたものは自らの保身でありその後ろ盾となる自民党都連の態度だけで、都民のことは一顧だにしませんでした。ここまで来ればもうあっぱれだと言うほかありません。また辞職と引き換えに自らの疑惑追及に対してもシャットアウトしてしまったわけで、議会最後の挨拶で辞職の理由を「都政の停滞が耐えられない」と言いながら、都議会の集中審議で問われた「ホテル三日月で正月に会見した出版社社長は誰か」「政務活動費で購入した美術品がどう保管されているか」といった質問も全て足蹴にするという議会軽視ぶりを見せつけました。これはもう都民や議会を馬鹿にしているというレベルではなく、本当に馬鹿だと思っているのでしょう。

舛添要一という人物を(投票率が低かったとは言え)都知事に選出したのは都民であり、その都知事のトンデモぶりをこれまで見過ごし追求も是正もできなかった都議会も批判からは逃れられず、その意味では「都民も都議会も馬鹿だ」という指摘は間違っていないのかもしれませんが、ただそれを馬鹿の大元である舛添氏から指摘されてはたまりません。辞職に至る事情も理由も過程も見事なまでのお馬鹿っぷりを見せてくれた舛添氏ですが、せめて次の都知事には能力が高くなくても誠実な人格者を選びたいものです。

なりふり構わぬ舛添都知事

昨日行われた東京都議会総務委員会の集中審議で、舛添都知事は質問終了後発言を求め、「不信任案提出はリオ五輪終了後まで猶予して欲しい」と発言しました。この時点では都議会最大会派である自民党都議連は不信任提出についての態度を表明していませんでしたが、舛添都知事の集中審議での回答や発言がこれまでの曖昧な説明の範疇を出ていないことなどから明日の本会議で自民党議連も含め全会派が統一して不信任案を提出することを決めました。

一連の疑惑に対する舛添都知事の説明は全くなっておらず、都民や都議会、国民の理解は全く得られていない状況なのですが、それでも説明に対する態度を改めず、それどころか不信任を猶予して欲しいとまで言い出す舛添都知事は、なりふり構わず都知事職に留まるべく、その為には手段も選ばなくなったものと思われます。

つまり、明日不信任案が可決しても知事は辞職や失職を選ばず、期限ぎりぎりの10日後に議会を解散、40日後に都議会議員選挙、そしてその都議会で改めて都知事に不信任案が提出され失職という、50日以上の延命策を選択する可能性が、否定できないどころかむしろ濃厚であるようにも思います。

舛添都知事の疑惑に対する説明の態度は、その時々によっていつものように上から目線で威圧的であったり、恐縮して平身低頭であったり、また「第三者」や「厳密な精査」や「一日も早く」といった同じ文言を繰り返すだけだったりと変わっていますが、「私は何も法的に違反はしていない」から(不適切とされた費用について返上するとか給与減額・無給で構わないといったものが加わるものの、)「この程度のことで知事職を退くまでのことは無いはずだ」という点で一貫しています。

私も都知事就任前からの疑惑や就任後の様々な問題は今後改めることで充分カバーできるものであったかもしれないと思うのですが、ひとえに舛添氏の説明がその時々において全く不適切極まりないものであったため、都知事を続けることは許されないという空気を世間に持たせてしまったように思います。例えば最初の疑惑である「週末の別荘への移動に公用車を使用している」「海外出張はファーストクラスでスイートルーム」という話が出た段階で、「知事としてあるまじき行為であり、今後は公務がない時も都内に留まり公用車での別荘移動やファーストクラス・スイートルームは取りやめ、さらに今後の給与は全額返上します」といった謝罪と今後の見通しを立てていれば、「そこまでしなくてもいいのに」との擁護論も出て、都知事就任前の公私混同疑惑まで蒸し返されることもなく、むしろ名政治家との誉れまで得ていたかもしれません。言うまでも無いことですが実際の舛添都知事は「公用車の使用はルールに則って行われており何ら問題がない」「移動先できちんと仕事をするためファーストクラス」「海外要人に面会するのにスイートルームが必要」「都知事が県外でも対応できるシステムになっている」と自らの非を認めないどころか自身を正当化し、そのうえ「湯河原は奥多摩より都心に近い」とまで言い放ちました。

舛添都知事が「第三者」としたお雇い弁護士がいみじくも指摘していたとおり、政治資金の使途についても「違法ではないが不適切」なものであり本来は是正すればそれで済むはずのものです。それをここまで問題を炎上させたのは他ならぬ舛添知事の発言や態度です。「不信任提出と議会解散」は炎上の最たるものですが、今ならまだ「知事辞職」という形で最大の炎上は回避することができます。もはやなりふり構わずになってしまった舛添知事にその期待は薄くなってしまいましたが、この土壇場で良識ある態度を見せてもらいたいものです。

舛添都知事が調査結果を公表

舛添都知事が弁護士の調査結果を公表しました。旅行や美術品の購入などが「違法ではないが不適切」とされ、是正を求めるといった内容です。個人的には「自宅を事務所として家賃を計上し妻が代表を勤める団体に支払う」点を「不適切とは言えない」とした点は疑問でしたが、それでも全体的に舛添氏に不利な内容だったという印象を持ちました。

舛添都知事はこれまで疑惑に関する会見を4回行い、1・2回目は伏し目がちでお詫びを前面に出していましたが、第三者である弁護士に厳正な調査を依頼するとしてからの3・4回目の会見では、従来のギョロ目で高圧的な上からの物言いに戻っていました。知事擁立の後ろ盾となった自民・公明との間で知事続投という話がついたのか、或いは政治資金規正法に詳しい弁護士に精査してもらいさえすれば疑惑を晴らせると考えていたのかもしれません。

都議会での所信表明演説もこのような調子で、形の上では冒頭と最後に謝罪を入れましたが、誠実に説明責任を果たそうという姿勢は見られませんでした。ところが今回の調査内容公表では疑惑が噴出して憔悴していた時の会見を思わせる伏し目がちな態度に逆戻りしていました。このような公表内容であればそれも止むを得ないとは思いますが、舛添氏もこれほど厳しい内容になるとまでは思っていなかったのかもしれません。

舛添氏が費用を負担し依頼するのですから、もっと自分に有利な発表にしてもらうこともできたのではないでしょうか。或いは、目一杯割り引いてこの内容で、もうこれ以上は値引きできないということだったのかもしれません。もっとも、公平で厳正な第三者による調査をしてもらう必要があり、舛添氏側からそうした要望は出せなかったのかもしれません。けれどももう少し見苦しい無理やりな調査内容で、堂々と開き直る舛添氏の姿を予想していただけに、今日の結果公表は意外でした。

弁護士の先生からは、「舛添氏がこれ以降も東京都知事でい続けることは違法ではないが不適切だ」という判断が示されたということだと思います。百歩譲って「生まれ変わったつもりで」ということであれば、知事職を辞したうえで都民の判断を仰ぐなり、今後一切の報酬を返上して知事職をさせてほしいというくらいのことをしてもらいたいものです。不適切とされたものを返金して慈善団体に寄付し、湯河原の別荘を売却する程度のことでは、生まれ変わるどころか今までと何ら変わりません。

溺れた子どもを助けようとした70代夫婦が死亡

富山県砺波市の70代の夫婦が、農業用溜め池に落ちた近くに住む7歳の男児を助けようとして溺れ、亡くなるという事故が起きました。(7歳男児は別の人に助けられて無事でした。)

溺れている人を見かけたときは、むやみに飛び込んだりせず、ロープや長い棒を使うのが良いとされています。至極もっともなお話なのですが、実際にそういう場面に遭遇すると慌ててしまい、なかなか適切な行動が取れないだろうと思います。

私も小さな子どもがちょっとした池にはまってしまったのを見かけて、大丈夫だよと声を掛けて助け出してあげようと思ったのですが、池に向けて落ち込んでいく斜面がぬるぬるしていて、同じようにはまってしまったことがあります。後になって棒なりロープなりを使えば良かったのかと思ったものですが、目の前に助けを求めている小さな子どもがいると、取るものもとりあえずそばに駆け寄ってあげなくてはと思ってしまいます。

さすがに足が付かないほどの深さがあり、泳いでいかないとそこまで近づけない距離があれば「どうすればいいだろう」と考えると思うのですが、自分でもどうにかできそうだと思える状況の方が、助けようとした人も溺れてしまう危険が増すかもしれません。

小学校のPTA活動でも夏休みのプール監視の役が割り振られることがありますが、事前に行われる救急法講習では「溺れている子供をどのようにプールから助け出すか」という段階はすっ飛ばして、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDの使い方で終わってしまっていないでしょうか。蘇生法は必要なものですが、それ以上に実際にプールサイドから溺れている子供を見つけ出したりどのようにして助け出すかのシミュレーションが重要です。少なくとも着衣で溺れている役の人を助け出すくらいの事前実習は必要かもしれません。

実際にそうしたシミュレーションなり経験があって初めて、いざ溺れている人や子どもを見かけた際に、自分に何ができるのか、どうすれば良いのかといった見極めができる筈です。ご夫婦が助けようとしたお子さんが助けられたのは幸いでした。けれどもそのご夫婦を助けられなかったことが残念でなりません。

説明責任を放棄した舛添都知事

前回の記事から1週間の間に、さらに舛添要一都知事の政治資金問題についてさらなる疑問点が指摘されました。
1.海外要人との交流目的に美術品を購入
2.自宅を政治団体事務所として夫人が代表を務める会社に家賃を支払い
3.解散した政治団体から自身の政治団体政党交付金を含む寄付
他にも政治資金で湯河原の別荘で乗っていた自動車を購入といった様々な指摘がなされています。こうした疑問に対し舛添都知事は会見の席で自らの口から説明することなく、「政治資金問題に精通した弁護士に厳正な調査を依頼し、そのうえで対応したい」としました。但し会見の時点で調査をしてもらう弁護士が決まっているわけではなく、「今のところそのつもりです」という話に過ぎないようです。
舛添都知事はもともと国際政治学者として朝まで生テレビで気鋭の論客として登場したこともあり、お話の上手な人です。疑惑が持たれた最初のうちは会見のほかに自らテレビに生出演して「政治活動の一環であり問題はない」と答えていました。しかし度重なる疑惑が浮上する中で「詳しく調査した上で会見で説明します」と発言のトーンが変わり、とうとう自分の口から説明するのでなく「弁護士さんに調査してもらう(ことにした)」と態度を変えました。
この度の対応は一見「第三者に公正中立な調査をしてもらう」かのように説明されていますが、その弁護士を選び費用を払うのは舛添都知事です。つまり舛添都知事に雇われた弁護士が調査をするわけですね。つまり「第三者」の公正中立性が確保されているわけではありません。
これは要するに、どれだけ説明してみても一向に納得してもらえず、このままではとても追求から逃げ切れそうにないので、政治資金の使途に詳しい弁護士という専門家に、どうすればこの窮地を脱することができるか相談しようとしているところだということに過ぎません。
東京都民や国民が舛添知事に期待しているのは、様々な疑念に対し舛添知事本人がどのように考えているのかを説明してもらいたいのであり、法的に問題があるのかどうかは二の次です。わざわざ「自分の口から説明することはしません」と宣言するような会見を開くのは都民を愚弄しているのと同じです。もはや舛添知事には都民に真摯に向き合う余裕がなくなり、「専門家に相談してから」という一時しのぎをするので精一杯という状況なのかもしれません。

舛添要一都知事の何が問題か

週刊文春の記事をきっかけに、舛添要一都知事に幾つかの疑惑が報じられています。
1.海外出張の多大な支出
2.公用車で別荘通い
3.家族旅行の費用を政治資金として計上

舛添都知事は会見で、それぞれ釈明や謝罪を行い、説明責任は果たしたと考えているようです。その言い分についての判断はここではさて置き、百歩譲って言い分を全て受け入れることにしたとしても、この人物に今後も都政を任せ、東京五輪でも顔として振舞ってもらいたいとは思えなくなってきました。

たとえばプロ野球でマスゾエ選手という人がいたとします。マスゾエ選手はドラフト1位で入団してきた期待の選手で、1軍で試合に出ていますがこのマスゾエ選手、「三振が多い」「エラーが多い」「足が遅い」。さて、あなたが監督ならこの選手をこれからも使いたいと思うでしょうか。

マスゾエ選手はこう言います。「三振が多いのは長打を狙っているからです。」「エラーが多いのは難しい当たりでも取りにいこうとした結果です。」「足が遅いのは長打力を増すためにウェイトを増やしたからです。」それぞれの言い分はある面でなるほどと思わなくもありませんが、何だか腑に落ちません。後になって「三振やエラーを減らし、機動力あるプレーを心がけます」と言いなおしたりしたようですが、なんだかなーという感じです。

仮に三振・エラーが多く、さらに足が遅くともホームランを量産してくれるのであればチームにとって欠かせない選手です。多少のデメリットはあってもそこには目をつぶって監督は使うでしょう。けれど特に活躍してくれるわけでなく走攻守人並みでしかなければ、ゲームで使えるプレーヤーにもベンチ入りできる選手にも限りがありますから、「三振・エラーが多く、足が遅い」マスゾエ選手は、2軍に落とすかトレードするか或いは退団してもらうしかありません。

私にとってマスゾエ選手…ではなく舛添都知事は、出張旅費や公用車使用や活動費の公私混同といった(瑣末な)問題があっても、知事として試合を決める華々しいホームランを量産してくれているようには見えません。一つ一つの問題についての釈明を受け入れるかどうか以前に、問題の多い知事に「これまで以上に都民のために働きたい」と言われても、勘弁してよとしか思えないのです。些細なことでも都民の意思意向とそぐわない行動が多い人物なら、他のもっと重大なこと案件でもおかしな判断をしてしまうのではないかという疑念がずっとついて回るからです。

日本シリーズ 中日vsロッテ

今年のプロ野球ペナントレースを締めくくる日本シリーズは、セリーグを制覇した中日ドラゴンズと、パリーグクライマックスシリーズを3位から勝ち上がった千葉ロッテマリーンズの戦いとなりました。

日本シリーズは以前のようにリーグ覇者同士が日本一を賭けて戦うゲームではなくなったものの、日本プロ野球の年度日本一の決定戦であることに変わりはありません。ところがその日本シリーズのテレビ中継が全7試合のうち全国ネット放送される予定はわずか3試合だというのです。

1975年から2002年まで、日本シリーズの全ての試合は(予定されていたが実施されなかった試合も含めて)テレビで全国中継されていました。NHKと民放とが並列放送していることも珍しくありませんでした。ところが2003年、フジテレビがバラエティ番組による「王シュレット事件」により放映権を得られず、全国中継のないテレビ東京系列が優勝決定となった第7戦を中継したことを機に、全国中継がないシリーズが時折見られるようになりました。

2003年の放映権変更は事故という側面はあるとしても、翌々年には再びテレビ東京系列が最終戦の放映権を獲得しています。この時点ではまだ実施される可能性が低い最終戦でしたが、翌2006年には必ず実施される第4戦を、2007年には2試合の放映権を獲得と、完全全国ネット網を持たないことに遠慮することもなく、放映権の獲得に乗り出しているのがわかります。

それでも昨年までは、準全国ネットで視聴できない地域はあるものの、全試合の地上波放映が行われていましたが、今年はそれが僅か3試合になってしまったのです。ペナントレースの野球中継数も減り、また数少ない中継も放送時間が延長されないことが普通になり、テレビのプロ野球離れが進んでいる、ということなのかもしれません。もっとも、日本シリーズ読売ジャイアンツが進出していれば、日本テレビ系列が東京ドームで行われる1・2・6・7戦の放映権を獲得していたそうです。そういう意味では「中日対ロッテ」という対戦カードがテレビ放映を減った結果だったのかもしれません。

なお本日行われた第一戦はロッテ成瀬投手が好投し、投打の噛み合ったロッテが5対2で中日を下しました。