阪神タイガースセリーグ優勝が決まってから、村上ファンド阪神電鉄株の買収に乗り出したことが報じられました。また村上ファンドはTBS株の買収にも乗り出していましたが、もっと本格的にTBSの株を買収していたのが三木谷浩史社長率いる楽天です。
楽天がTBSを買収か?」という話を聞けば、誰もが今年2月の「ライブドアのフジテレビ買収騒動」を思い浮かべるでしょう。ライブドアが実際に買い進めたのはニッポン放送株でしたが、堀江貴文社長の狙いはニッポン放送買収によるポータルサイトとラジオのメディアの融合ではなく、親会社であるニッポン放送筆頭株主となることで子会社のフジテレビに影響力を持つことでライブドアの価値を向上させることでした。
 この買収に際しては大量の株式を時間外取引によって取得したことで違法性が強いと指摘され、またニッポン放送やフジテレビはこれを敵対的買収と捕らえ徹底抗戦に出ました。結果的にライブドアとフジテレビは和解*1しましたが、その内容はフジサンケイグループからライブドアの関与を排除するというものでした。
フジテレビはライブドアが持つニッポン放送の株を買い上げてニッポン放送を子会社化した。さらにフジテレビはライブドアに増資を行い、両社が共同でメディアの融合を目指す場を設けるとの発表がなされたが、その後新しい融合メディア事業の話は聞こえてこない。
 今回楽天は、TBS株を買い集めた頃からTBS側と接触し、乗っ取りや敵対的買収ではなく両社の持株会社を設立してはどうかと働きかけていました。しかしそうした接触と株の買収や持株比率の公表のタイミングから、TBS側は楽天に対し不信感を抱いており、業務提携がこのまますんなり進むというわけにはいかないようです。
 ただし以前のライブドアのフジテレビ買収の際には大量株式の時間外取得が問題視され、政治家からもライブドアの手法を批判し法改正の論議もなされましたが、今回は逆に中川通産大臣の「株式会社はいつから株主を選べるようになったのか」という発言に見られるようにむしろTBS側の対応を批判する声が上がっています。
 楽天はプロ球団を所有し、TBSも横浜ベイスターズを子会社として抱えています。プロ野球機構では同一法人の複数球団所有を禁じており、楽天は密かにU−SENにベイスターズの買収話を持ちかけたと言われていますが、この点も楽天とTBSの提携の障害になりそうな気配です。
 楽天ゴールデンイーグルスは今年度新規参入したプロ球団ですが、ライブドアも昨年楽天より早く球団の新規参入に乗り出し、結果的に楽天後出しジャンケンで参入に成功しました。そんな騒ぎをよそに福岡ダイエーホークスソフトバンクが買収したのですが、今回もライブドアが目指して果たせなかったテレビ局買収に後から楽天がより有利な方法で乗り出したという図式です。そうこうしているうちにソフトバンクテレビ朝日テレビ東京あたりと業務提携を発表したりすれば、2004年オフのパリーグの動きがそのまま、テレビ業界で繰り返されることになります。

*1:フジテレビはライブドアが持つニッポン放送の株を買い上げてニッポン放送を子会社化した。さらにフジテレビはライブドアに増資を行い、両社が共同でメディアの融合を目指す場を設けるとの発表がなされたが、その後新しい融合メディア事業の話は聞こえてこない。