昨日の時点では「不完全燃焼防止装置」の仕組みが判りませんでした。その仕組みとは次のようなものです。(排気口にほこりがたまるなどして)器具内に排気が逆流すると、その温度をセンサーが感知、防止装置が働く構造です。
実は現在の製品では不完全燃焼を防止し一酸化炭素の発生を防ぐ為の仕組みは二重構造になっています。一つは上記の「不完全燃焼防止装置」であり、もう一つは「再点火防止機能」です。今回問題になっている3機種には「不完全燃焼防止装置」しかついていませんでした。
「再点火防止機能」とは「不完全燃焼防止装置」が作動して消火した後は点火できなくなる仕組みです。
「不完全燃焼防止装置」のみの湯沸し器ではいったん火が消えて器具が停止しても、再び点火ボタンを押すと点火します。「不完全燃焼防止装置」のセンサーが再び不完全燃焼を感知するまでには20秒間ほどのタイムラグがあるので、20秒ほど燃焼した後再び停止します。
99年にリンナイは再点火による不完全燃焼の発生を確認した東京ガスの依頼を受け実験を実施し、再点火を数百回繰り返すと排気と一緒に器具内に逆流したすすがセンサーに付着し、「不完全燃焼防止装置」が働かなくなることを確認しました。
これを受けてリンナイはその後の新製品には「再点火防止機能」を備えました。他の湯沸し器メーカーもこれに倣って同様の措置を取ったようです。
今回問題になっているリンナイ製品の5件の事故は00年以降、つまりリンナイが「再点火防止機能」がついていない機種では再点火を繰り返すことで「不完全燃焼防止装置」が働かなくなる可能性があることを把握した後に起こっています。メーカーは(ユーザーの誤使用が原因であるとは言え)換気の必要性と再点火を繰り返すことの危険性を広く周知するなり、該当製品に安全性を向上させるための追加改造を呼びかけるべきではなかったでしょうか。5件の事故のうち2件の機種は、再点火を繰り返した結果の事故である可能性が指摘されています。
ところがリンナイでは04年までに発生した事故の報告を受け、当時の社長ら全取締役が緊急会議を開いて対応を協議しながら、製品の回収や消費者への周知徹底などの抜本的な対策を見送っていたことも明らかになりました。
当時は製品に欠陥があるとは考えていなかったとしても、想定外の使用法による不具合が報告され、その後の新製品に改良を加えたというのは欠陥を是正したことに他ならないのではないでしょうか。また新製品に改良を加えるのはサービスではなく必要な措置であるならば、旧来の製品のユーザーに危険性を周知させなくてはならないのではないでしょうか。旧来のユーザーに危険性を周知することは企業の安全対策への取り組みを示すことになり、決して不要な不安をユーザーに植えつけイメージを損なうことにはならないと思います。